2015年7月初旬、東京でキャラクター&ブランドライセンス展が3日間開催され、1500社を超える企業が出展、入場者は5万人に達した。アジアでもっとも影響力のあるライセンス展である。
現場では人気を誇る台湾のオリジナルキャラクター、バクのLAIMOとUP UPプラカードのリードのもと、爽爽猫、OBtuzなど有名キャラクターも日本の企業の注目を集めた。
フレッシュタイワンが東京にチャレンジ
ラスベガスと東京のライセンス展への出展は、台湾のクリエイティブブランドにとって自分を売り込む絶好の機会になる。同時に、海外のクリエイティブ企業の経験に学び、将来の発展の指針とすることもできる。
海外出展には収穫があるとはいえ、クリエイターの誰もが出国費用を負担できるというわけではない。そこで政府文化部は2012年から優良台湾ブランドを毎年選抜して「フレッシュタイワン」チームを結成し、クリエイティブ企業の国際市場進出を支援している。
今年2月、フランクフルト・アンビエンテ消費財見本市での成果は大きく、後続の効果は2000万元近くになる。7月の東京ライセンス展には、クリエイティブブランド8社がリードし、更に初参加のエージェント2社、華研国際(HIM)と博徳文化創意(BIG)が加わって、団体で出展した。
エージェントはクリエイターと市場とを橋渡しする。クリエイターは自ら営業に出ずに済み、エージェントが企業とクリエイターをマッチングする。協力の機会が拡大するだけでなく、クリエイターは創作に専念でき、産業サプライチェーン分業の健全化が進む。爆発的な人気のバクLAIMOの作者CherngもHIMがライセンスマネジメントを担い、Cherngは企業との協議に頭を悩ませずに済むので絶えず新しい作品を生み出せる。
東京出展のコンセプトは「パッション」。日本で台湾クリエイターの情熱を示し「暮しのなかの癒し仲間」と「グリーンファッション&ホープサポート」のキャラクターを中心に、前向きなパワーで日本市場の注目を集めたいと考えた。中でもHaniboiの「UP UPプラカード」は前向きパワーのベストイメージキャラクターといえる。
メッセージをUP UPが代弁
「プラカードは態度です。信頼と希望です。小人がみんなで応援してくれる。一人じゃないよと教えてくれるんです」デザイナー李翰は、世界中の素晴らしい物事が、私たちが両手を上げて支持してくれるのを待っていると信じる。だから、創作でその精神を引き継いでいきたいと願う。
2013年5月「UP UPプラカードメーカー」が公開された。ユーザーがウェブサイトで文字を入力すると、文字が小人のプラカードになって、イメージ画像をシェアできるしくみである。
UP UPプラカードはインターネットで爆発的に広がり、1週間以内に30万人以上が利用した。五月天(メイデイ)のボーカル阿信、高雄市長・陳菊も利用し、UP UPプラカード人気は広まった。
李翰は小さいころから創作の道を進もうと決めていたが、頭にはアーティストの情熱だけでなく、起業家の冷静さもあった。高校を卒業してロンドンのセントラル・セントマーチン芸術大学でグラフィックアートを専攻した。2008年にイギリスでデザイン会社Haniboiを設立し、数々のイギリスブランドと共同でクリエイティブ商品を開発した。だが起業当初は苦しい時期もあった。
「高校時代に起業を決めていましたが、起業してからが学習でした」直面する様々な課題は起業してからでないとわからないという。教科書の理論では足りなかった。「家の天井まで積まれた在庫を見ると泣きたくなりました」と苦笑する。
クリエイティブ産業でも品質や市場、コスト管理等、経営管理の課題は同じである。創意をビジネスにするにしても、こうした課題は避けられない。例えば、デザイナーによっては完全な自由を追求し、企業がコンテンツを制限するのを許せない人もいる。「自由に発揮できればもちろん楽しいですが、限られた枠の中でできる限り自分の目標を達成するのもチャレンジです」
ライセンスエージェントで効率倍増
創業から7年、李翰はロンドンからたくさんのデザインとアイディアと共に台北に帰ってきた。Haniboiのエコバッグ、キーホルダー、小銭入れ等の商品は、世界中で販売されていたが、商品の制作だけが唯一の道ではないと考えていた。
「自分で商品を作るには、工場、販売、倉庫、運送も手配しなければなりませんが、どれもデザイナーが得意とすることではありません」李翰は、ライセンシングによって各自が得意分野に専念でき、またクリエイティブ産業が健全に発展していく重要な一歩になるという。
2013年、Haniboiは初めて「フレッシュタイワン」でラスベガスのライセンス展に出展し、「デザインのライセンスでこんなことができるのか」と発見したという。
Haniboiは間もなくエージェントの梅迪奇と契約し、UP UPプラカードを使用した立体商品とその他キャラクターグッズの製造と、書店・玩具店・コンビニでの販売を許諾した。
「私たちはデザインに専念し、エージェントが宣伝や契約交渉を担当して、それぞれ利益を得ます。消費者もより優れた製品を手に出来ます」李翰は、協力によってより多くの時間を新しいアイディアの構想に使えるようになったという。
エージェントを通すことで、時には思わぬ異業種コラボレーションが現れる。年初にはインナーウェアブランドが「UP UP」に注目した。Haniboiが考案したマスコットキャラクターは市場でも好評だった。最近は台湾映画やベーカリーとのコラボレーションもある。Haniboiのデザインの安定した成長とともに、台湾クリエイティブ産業のライセンシングの未来も明るくなってきている。
台湾クリエイティブ産業のビジョン
産業発展には時間と環境が必要である。速成はできない。台湾のクリエイティブ商品の発展環境は米国や日本ほど成熟していないが、徐々に発展している。社会の成熟に伴い、デザインや美が追求されるようになった。将来、デザイナーはより尊重されるようになるだろう。
今年7月の東京のライセンス展が終わると、秋にはパリのインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」、上海国際インテリアライフスタイル見本市、バンコク国際ギフトフェア・家庭用品フェアが続く。「フレッシュタイワン」は更に多くのメンバーを率いて出展し、台湾クリエイティブブランドの海外進出を支援する。
デザイン、マーケティング、製造からライセンシングへ、台湾の文化クリエイティブ産業チェーンは一歩一歩、健全な環境を構築している。
Haniboiを創業した李翰(中央)は、次々と頭に浮かんでくるアイディアと理性的な経営コンセプトを両立させ、会社を安定的に発展させてマーケットを切り開いている。(林格立撮影)
グループで見本市に出展すれば経済的であるだけでなく、会場の展示にも一体感を出せる。写真は今年東京で開かれたキャラクター&ブランドライセンス展でのFresh Taiwanの展示。
政府文化部に率いられたFresh Taiwanチームは、初めて東京のライセンス展に参加し、台湾で人気上昇中のさまざまなキャラクターを売り込んだ。