悠然とデスクに向かい、全体を見渡す。正面の奥には背の高いPCモニター、下にキーボードとマウス、スピーカーが並ぶ。右にはライトと名刺入れ、コーヒーカップに時計、ペン立てとテープカッター、左手にはホチキス、付箋、スティックのり、ハサミ、修正テープ、カッター、定規、手前には万年筆と鉛筆、消しゴム、クリップ、ダブルクリップ、メモ帳が並び、手紙の山の上にはスマホとタブレットが載っている。私のデスクの風景は、高く低く、連なる峰の間を河が流れ、さまざまな色が入り乱れる。それはまさに小さな世界、大いなる我が王国である。
デスクの上は、Googleで世界とつながる基地であり、ビジョンを描く作戦室でもある。また人生を考える道場であり、書き物をする小部屋であり、読書にふける田園でもある。そこには常に新旧の文具が寄り添い、傍らの《光華》は変化する時代をともに歩む仲間である。
デスクの上の小さな世界には、時代を刻んだ夢や時を経た大志が納められ、おのれの人生と日常が詰まっている。
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《光華》のシリーズ、柴米油塩醤酢茶の「開門七件事」は、順番に進んで今月は「塩」に焦点を当てる。海水、大地、風、陽光、人という条件がそろって初めて美しい塩の結晶が生まれる。伝統産業と文化クリエイティブ産業が融合し、ホワイトゴールドに新たな風味が加わる。
《光華》のシリーズ「都市/地方めぐり」では、前回の港湾都市・高雄に続いて台湾東岸の真珠、宜蘭に目を向ける。この幸福の大地では、アートが村落の暮らしに根付き、コミュニティ活動が盛んに行なわれ、文学の美が体現され、心地よい田園で悠然としたスローライフを送ることができる。「古い鳥瞰図でたどる台湾の旅」では、古地図を媒介に時空を超え、かつての台湾八景の美を味わい、遠い時代に思いを馳せていただきたい。「台湾自然探査隊のシベリア探検」では、台湾の金山清水湿地からシベリアのツンドラまで、ソデグロヅルを追う旅をお読みいただく。遥かなる万里の長征の中に、大自然に対する探査隊の熱い思いを感じていただきたい。「東南アジアからの風」では再びタイに焦点を当てる。タイ語学習と四面神(ブラフマー神)信仰は、以前報道したタイ料理と同様、台湾人の暮らしにも深く根付いており、多くの人がタイという国に触れ、理解するきっかけとなっている。
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パソコンの電源を切り、ペンを置き、本を閉じ、ライトを消し、コーヒーを飲み終え、デスクを離れる時、目の前の風景にしばし別れを告げる。自分だけの小さな世界は、おのれの性格が染みた王国である。そこに広がるのは華やかな世界だろうか、それともシンプルな風景だろうか。 □