学費の高騰と入学者数の増加
学費ローンの急増は、二つの変化を反映している。一つは学費の上昇、もう一つは中低所得世帯の子女が大学に入るようになった点である。
学費の上昇は、一番目に付きやすい変化であろう。比較的安かった国公立の学費も、1996年の平均年額3万7902元から、2005年には5万9490元に値上げされ、上げ幅は約57%である。同じ時期に私立大学は9万4778元から10万8062元と14%値上げされたが、いずれにしろ同時期の消費者物価指数の上がり幅7%を大きく上回っている。
次の要素だが、現行の学費ローンの規定では世帯の年間所得120万元以下が申請条件である。申請比率の急上昇は、中低所得世帯の子女が大学に進学する機会が増えたということを示す。
かつては、大学教育はエリート教育で、進学できるのはごく少数、その少数も社会的地位が高い家庭が多く、子女の進学に学費ローンの必要はなかった。
こういった状況が、教育改革と大学の増設で大きく変わった。台湾の大学数は1986年の28校から2010年の105校(別に単科大学44校、単科短大15校)と激増し、100%近い合格率で、合格基準と世帯収入が引き下げられた。中低所得世帯の子女の進学率が上がれば、一定以上の比率の学生は学費ローンに頼らざるを得なくなることは、合理的に推定できる。(グラフ2)