青い海を求めて、人生の挑戦
水先人の待遇は船長に比べても高く、また長期にわたり海上にいる必要もないので、多くの船長が水先人を目指す。しかし、試験は2年に1回で、難度が高く、競争相手はベテラン船長のため、合格は容易ではない。現在、台湾の水先人は87名を数え、各港湾の作業に足りているため、新人が試験に通っても、欠員があるとは限らない。
また港湾毎に水路や地理環境が異なるため、試験では港湾を選択し、合格後に別の港湾に就職することはできない。実習でも、技術に加えて暗礁や潮汐、地形や目印を熟知する必要がある。
地域を分ける理由はまだある。水先人の報酬は、その港の水先収入を均等に分けるので、地域制限がないと誰もが大きな港を選択し、一人当りの所得が減り、小さな港を選択する人がいなくなる。港湾別の水先収入は、案内する船舶の積載貨物量で計算する。トン当り1元で、6万トンの船舶では案内料6万元を船会社がその港湾の水先人協会に支払う。
最近では台湾の各港湾の貨物取扱量が減っていて、水先人の給与も影響を受けている。基隆港の場合、水先人16人に配分される平均給与は月額20~30万台湾元だが、それでも一般の平均給与の数倍となる。
水先人の仕事に興味があるなら、まずは一番基本の船員から始める。新米船員の平均給与は約5~6万元と待遇は悪くないし、世界各国を巡ることができる。大都市で働くのに比べて、海上生活はゆったりした心持を培うことができて、また別の人生を過ごせる。「都市の人生は、流れ星一つ見るのにも何時間もまたなければなりませんが、海の上では毎晩流星群を見られます」と、鄭江山は若者のチャレンジを勧める。
水先案内は世界の海運に欠かせない職業で、そこに間違いがあれば、世界の海運の運行に影響する。方信雄は「私たちは、任務に就くと毎回危険と隣り合せで、仕事は大変ですが、任務を完了して船長から感謝されるのが励みです」と話す。
お天気がどうであろうと、風雨に関らず、水先人は十年一日の如く港で指令を待ち、様々な試練に立ち向っていく。