芝生の上での洗礼
「サッカー教室を開くと話すと、友人たちは、ありえないと言いました」と話すのはイギリス人のマイケル・チャンドラーさんだ。「砂漠に花を植えるようなものだ」と言われたそうだ。
しかし、2003年に内湖三民中学の体育館を借りて週一回の教室を始めて以来、生徒数は40人から500人まで増えた。淡水にも教室を開くことができ、砂漠に芽が出てきたのである。「年末までに台南と台中の学校でも生徒を募集します。そうなればアルバイトで英語を教える必要もなく、フルタイムでサッカー指導に取り組めます」とダニエルは言う。
アルバイトをしながらとはいえ、サッカー教室の準備に手を抜くことはなかった。教室を開く前、ダニエルはイギリスのライチェスター・シティFCなどプロチームを訪ねて関係を築くとともに、各チームの少年訓練制度を見学してきた。
「いろいろな細かい点を学びました。グラウンド上のポジショニングや子供たちとのコミュニケーションの取りかたなどです」ダニエルは、イギリスサッカー協会によるFAレベル1クラブコーチの資格も取った。
サッカーでは怪我をすることも多いため、コーチの資格の他に、彼らはスポーツトレーナーの資格も取り、万一事故が起きた時には処置できるようにしている。
「イギリスから年齢別クラス分けも導入しました。U7は7歳以下、U9は9歳以下で、それぞれに練習の重点が異なります。U11になると試合に重きを置き、勝つための精神を鍛えることができます」とマイケルは言う。
U7ではステップの他に、ポジションが重点になる。ダビッドによると、サッカーを始めたばかりの子供たちは球に群がるばかりで空間の概念がない。いかに空間の意味を教えるかが、その後の発展に大きく影響するという。
今年、イギリスサッカー協会のコーチ講習会が台湾で開かれたのもマスター・サッカー・アカデミーの努力の賜物だ。今年1月、イギリスのケント州サッカー協会の協力を得て、ウェストハム・ユナイテッドFCの公認コーチ指導員2人が台湾を訪れ、イギリスサッカー協会のレベル1コーチ訓練課程を開き、内外の45人のコーチが参加したのである。
サッカー選手として台湾では群を抜いて素晴らしいキャリアを持つガーナ出身のイブラヒム・ドンカーさん。その指導の下で子供たちは着実に力をつけている。