新聞局の流行音楽補助制度
これまで政府は常に流行音楽の舵取りと後押しの役割を果たしてきた。
中正大学コミュニケーション学科の簡妙如准教授の「音楽は市民文化権の実践:流行音楽政策の回顧と批判」によると、政府は初期の権威主義体制の下で一部の楽曲を取締り、「浄化歌曲」を提唱した。中期になると著作権保護と海賊版取締りに取り組み、1990年には国が授与する「金曲賞」を設けた。2000年以降は流行音楽産業の経済価値向上と支援に力を注いできた。
2009年、行政院は「文化クリエイティブ産業発展プラン」を定め、「TVコンテンツ、映画、流行音楽の三産業発展旗艦計画」を打ち出し、2010~2014年の5年間で135億を投じることを決めた。そのうち新聞局が「流行音楽産業発展行動計画」」として21.35億を投ずることとなった。
2007年から新聞局はバンドのCD製作に補助金を出し、ここ2年は毎年1000万を補助している。20ほどのインディーズバンドが対象となっている。
猴子飛行員の最初のアルバム『My Guitar』と今年3月の『Big Child』も新聞局の補助を受けた。補助の申請企画書を書いたドラムの王昱人によると、アルバム1枚の準備には半年以上、補助金の審査に5ヶ月かかるという。
Tizzy BacはCD発行や海外公演、マーケティングなどで補助を受けた。ボーカルの惠婷は、ミュージックビデオ撮影には大金がかかるので、補助がなければできなかったという。
この他に「台湾の流行音楽を国際市場に打ち出す」という目標の下、新聞局は2010年からアーティストやバンドの海外音楽活動や研修参加にも補助金を出している。フランスのMIDEMや、米国のSXSW、CMJ、リバプールや大陸の音楽フェスなどだ。
5月中旬には猴子飛行員が新聞局の補助を受けてリバプールで演奏する。
音楽創作を奨励する新聞局は、2010年に「金音創作賞」を設けた。第1回は1800のバンドや個人から応募があり、猴子飛行員のファーストアルバム『My Guitar』が最優秀バンド賞に選ばれた。シンガーソングライターの張懸も最優秀創作歌手賞と最優秀ロックシングル賞を受けた。第2回は林生祥が最優秀アルバム賞、最優秀創作歌手賞、最優秀フォークアルバム賞を受賞した。
補助や奨励の目的は、才能あるアーティストやユニークなインディーズバンドの注目度を高めることにある。
インディーズバンドの共通の夢はアルバムを出すことだ。
音楽は若者が自己表現しアイデンティティを見出す手段である。写真はライブハウス「河岸留言」のステージに立つ猴子飛行員。
流行音楽のジャンルは多様だ。バンド「無限融合党」はジャズで2011年の流行音楽金曲賞演奏部門の最優秀アルバム賞を受賞した。