年間売上1億を超す第一基金会
第一社会福利基金会は、障害者とその家族をケアする福祉機構だ。特別支援教育を専門とする大学教授たちによって1980年に設立され、早期教育や生活訓練、就職指導などを重点に、教具や教授法を開発し、30年余りで1万人以上をケアしてきた。
第一基金会は障害者の権益などを他団体ほど声高に叫ばないが、彼らのシェルタード・ワークショップと雇用サービスは有名で、「第一社会企業」という部門を設けて運営し、清掃や化学実験室補佐などを行う。そこで働く障害者は就業前訓練、職業紹介、職業指導など一貫した雇用サービスを受ける。
最も高い成果を上げているのは「第一清掃」で、台北市役所、国父紀念館、中央研究院など40以上の公的機関の公開入札を勝ち取り、年間売上は1.1億元、318人分の雇用を生み出している。
彼らのビジネスモデルは、管理チーム、障害者、経済的弱者による三角構造を成す。ソーシャルワーカーが管理を担当、障害者は清掃スタッフの主力になり、中高齢者や特殊な境遇にある女性、服役経験者などが突発状況をサポートする役割を担う。この三者が力を合わせ、障害者が社会と隔絶されることなく働ける環境を可能にしている。
労働基準法の基本給与水準に照らし、給料も月1万9047元からのスタートだ。成績が良ければ昇給できるよう、基金会では売上の2%を昇給準備金に当てており、3万5000元以上の給料を得ている人もいる。こうして障害者はもはや家計の負担ではなくむしろ支えとなり、節約して数年で100万元以上貯金し、家電製品や車を買う人もいるほどだ。
台北市国父紀念館では、展示場から屋外の大広場まですべて第一清掃の業務範囲だ。紀念館回廊の清掃を担当する阿亮さんは45歳、仕事熱心で人の手助けもよくする。わずかに言葉のはっきりしない点を除けば、重度障害者には見えない。
「うちの子たちは労働のきつさを厭いません。せっかく手にした就職口を大切にします」と言うのは第一社会企業の方偉平マネージャーだ。障害者が誇らしげに「中央研究院で働いているんだ」と語る様子に、苦労して彼らを育てた親は目を潤ませる。また、労働者のこうした誇りが第一清掃の強みで、離職率は2割に満たず、丁寧で真面目な仕事への取組みがサービスの質を維持している。
台北市の「建国一条街」は全国の公益団体起業の縮図と呼べる地域で、この一帯には洗車、有機食品チェーン、ガソリンスタンドなど、障害者が働くシェルタード・ワークショップが集中している。