国際協力で温室効果ガス削減
気候変動枠組条約は1994年に発効して以来、195ヶ国が締約しており、温室効果ガス排出削減による地球温暖化防止のために各国が共通の認識を持つことを確認するものである。1997年には「京都議定書」において、二酸化炭素を含む6種類の温室効果ガスの排出削減目標を定めたが、一部の先進国および新興工業国は自国の経済発展と国家利益を考慮して批准していない。
2012年、カタールの首都ドーハで開催された第18回締約国会議では「京都議定書」の期限を2020年まで延長して期限までに新たな条約を定め、温室効果ガス排出大国である米国、インド、中国大陸も規範に取り込んでいくと決議した。
上述のアルバー氏によると、国際政治は国と国との対話だが、国連からは各国の実情は見えず、情報が公開されなければ具体的な建議もできない。そこで、各地のNGOが民間の観点から国際的に情報を交換することが重要となる。またNGOは一般市民との関係が近いため、より大きな影響力を発揮しやすく、市民に気候変動問題の重要性を知らしめることができるという。
アヴェリル氏は、気候変動問題においてNGOの果たす役割は非常に重要だと語った。NGOは弱者のための声を上げ、政府の施政を監督し、政策の実行を促すことができるからだ。
地球のために
台湾ではここ数年、毎年豪雨が襲って少なからぬ被害が出ている一方で、5月の梅雨の時期には雨が降らなくなっている。今年8月8日には台北で39.3度という117年来の最高気温を記録し、一般の生活においても気象現象の極端化が感じられる。
2009年の台風8号災害(八八水害)の被災地である高雄の復興支援を続けている台達電子文教基金会の張揚乾・副執行長は、NGOの役割は長期にわたる現地駐在を通して人々のニーズを理解し、それに寄り添ったサービスを提供することだと言う。
例えば那瑪夏民権小学校再建の場合、太陽光発電や耐震構造や美しい外観などは、現地の人々にとってはハードの設備に過ぎない。だが、実際に水害で避難した時は、学校の建物の階段が住民たちの交流の場となり、退屈な時間をしのぐことができる。また広い廊下があれば、教室に寝泊まりする人々のプライバシーも多少は保たれる。住民の真のニーズはこうした点にあるのだと言う。
フォーラムには欧州経済貿易弁事処(EETO)や米国在台協会(AIT)、ドイツ在台協会などからも代表者が出席し、台湾の民間におけるクリーンエネルギー開発や温室効果ガス排出削減、電子廃棄物回収や工業生産過程における低エネルギー化や低汚染化への努力と成果を高く評価し、他の先進国も見習うべきだと賞讃した。
「台湾は米国にもできないことをしています」とアヴェリル氏は語った。台湾の政府とNGOは緊密に連携し、政府が自ら省エネ・低炭素化を約束していることが印象に残ったと述べた。
アルバー氏は、台湾は直接UNFCCC締約国会議に参加することはできないが、大会の周辺会議は良好な舞台になると指摘した。NGOは周辺会議やフォーラムを通して他国の団体と交流することができ、これは台湾の声を世界に伝える絶好の機会となる。
気候変動による環境への影響は地球上のすべての人を襲ってくる。政府も国民もこの問題を正視し、力を尽くさなければならない。