上海万博で頂点に
彼らの空間ブランドマネジメントは産業界に認められ、光陽の他にAcer、BenQ、ASUS、EPSON、SONY、OSIM、マイクロソフト、ジャイアント、コカコーラなど名だたる企業が常に卡;爾吉特を指名している。同社のプランは、ドイツのCeBIT優良見本市展示会社賞や日本の都市プランニング賞、台湾のインテリアデザイン商業スペース金賞、中国の会議・見本市ベストクリエイティブデザイン・トップ20などを受賞している。
2006年以降は上海万博に重点を置いてきた。万博は見本市産業の最高峰であり、ここで創意が認められれば、最高の栄誉だと考えたからだ。
そこで同社は、万博パビリオンのコンペに積極的に参加し、激しい競争の末、ついに中国航空館(外観設計)、アフリカ館(内部展示プラン)、そして台湾企業の震旦館(全館プラン)を受注したのである。
これらのコンペの中で、語り草になっているのは中国航空館の建築デザインの受注だ。上海支社アカウント・ディレクターでシンガポール出身の林明暖によると、館側は「飛行機が都市を美しくする」という曖昧な概念を出しただけで、ドイツや日本を含む40チームはそれぞれ解釈することとなった。
各支社の幹部によるブレーンストーミングの結果、「空中の翼を捕える」というコンセプトで飛行機の機翼の形のパビリオンを提案することになり、最後の2社まで勝ち残った。だが、最終的に日本の提案に内定したという連絡が入った。
これでは今までの努力が無駄になってしまうと思った彼らは諦めず、不眠不休で知恵を絞った。そして無限大の「∞」をモチーフに、孫悟空の筋斗雲の形を考え出した。無限の広がりを意味するとともに中国文化とも繋がり、この「黄浦江沿いに浮かぶ白い雲」は内定を覆して逆転勝利したのである。
簡体字の「礼」の字の右半分の形をした「震旦館」では、5段階の広がりで玉と中国文化の関係が理解できる。アフリカ連合館は、アフリカ民族の多様性、地理と景観、豊富な物産などをテーマとしている。館内では大型彫刻の舞台や色鮮やかな市、茅葺や木彫、石造の建物などを通して多様な文化を表現している。他のパビリオンのようにテクノロジーを駆使したものではないが文化的に「アフリカの体温に触れる」ことを基調とし、人々の共鳴を得ている。
劉永明によると、コンペに勝つために、卡;爾吉特のデザイナーは震旦博物館で3ヶ月にわたって「古器物学」のカリキュラムに参加し、またアフリカのタンザニアやザンビア、ケニア、南アなどを訪れてアフリカの精神を研究した。
「私たちの成功は偶然ではありません」と劉永明が言う通り、彼らはライバルより努力して勝利を手にした。これこそ「決してあきらめない」台湾スピリットではないだろうか。