ライフスタイルを売る
民宿の競争が激化して以来、逆に豪華さを打ち出すところも出てきた。
20年以上金融業界で働いていた呉世聡さんと羅裕恵さんは、3年前に二人の子供を連れて台北から宜蘭県外澳の海辺に移り住んだ。土地と家に1700万元を投資して白と青のエーゲ海風の一軒家を建て、ここで人生の新しい一歩を踏み出したのである。
彼らが経営する「真情」は豪華な民宿で、4つの客室はそれぞれスタイルが異なる。フランス風、バリ島風、ポストモダン風、ギリシア風があり、宿泊費は5000〜6000元とかなり高い。それでも宿泊率は高く、その影響で周囲に民宿が増えてきた。
「私たちが売るのは一種のライフスタイルで、部屋ではありません」と話す呉世聡さんは朝食を例に挙げる。ここではロマンチックな雰囲気の中でスープ、パン、果物、コーヒーなど豊富な朝食が供され、1時間たっぷり楽しむことができる。
どんな人が民宿に泊まるのか
民宿のスタイルによって宿泊客も違ってくる。だが、民宿に泊まろうというのは、どのような消費者なのだろうか。
輔仁大学生活応用科学科の厳如鈺さんの論文「民宿利用者の消費形態研究」によると、民宿を宿泊先に選ぶ消費者は20代が48%、次が30代の33%で、大学・短大卒(71.7%)の未婚者(56.7%)が最も多い。
また人気のある民宿という点では、景観を売り物にしているところが45.5%と最も多く、最も好まれる部屋はロッジスタイルの45.8%である。
朝陽科技大学レジャー事業管理学科の大学院生、廖栄聡さんが2003年に行なった「民宿宿泊体験の研究」によると、旅行者が民宿に泊まる四大動機は「近くに美しい自然や景観がある」「リラックスできる」「サービスが良くて素朴」「環境が静かでシンプル」というものだ。
20代前半の関小羽さんは、友人と一緒に花蓮で3回、墾丁で1回、民宿に泊まった。「民宿はいいですよ。すごくきれいだし」と言う。彼女は仲間と一緒にネットで民宿を探して雰囲気を確認し、環境が静かで宿泊料の合理的なところを選ぶ。ホテルではなく民宿に泊まるということで、心構えも必要だ。豪華な設備やサービスを期待するのではなく、笑顔を作って民宿のご主人と仲良くなるよう心がけるのである。
あなたは台湾の民宿に泊まったことがあるだろうか。ネットで自分のニーズに合った民宿を探して行けば、ホテルや旅館では味わえない、新しい旅が経験できるかもしれない。