世界の舞台で、台湾は常に積極的に活動している。今月号のカバーストーリーでは、芸術、医療、先住民、テクノロジーなどの分野の民間団体が、それぞれ世界に台湾の経験を伝えている事例をご紹介する。
「LIMA台湾原住民青年団」は、先住民の若者である洪簡廷卉が率いる自発的なチームで、先住民族が直面する問題について世界の舞台で台湾の声を上げている。
チェコで生まれ、世界の劇場人材の交流を目指す団体「OISTAT」は、地理的優位性を考えて1997年に本部を台湾に移した。平均年齢30歳の現地スタッフが本部を引き受け、東西の劇場関係者をつないでいる。
オンラインコミュニティの「g0v零時政府」は協力と自主性、オープンの精神を貫き、4年間で貴重な経験を積んできた。そのオープンソースは香港やスペインなどの民間団体も用いており、台湾はシビックテック・コミュニティとして世界第3位に入っている。
「希少疾患基金会」は、20年にわたって希少疾患の患者に関心を注ぎ、医療環境の改善を促してきた。その成果は世界の手本となり、近隣諸国から多くの関係者が学びに来ている。
医療から芸術やテクノロジーまで、あらゆる分野で台湾は世界に貢献しているのである。
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反逆の精神から、伝統に背いて新たな世界を切り開こうとするのは、芸術家に共通する特質のようである。
2017年に行政院文化賞を受賞し、「現代水墨画の父」と称えられる劉国松は、独自の「抽筋剥皮皴」技法を生み出し、現代水墨画に新たな境地を開いた。何景窗、高一民、林国慶ら若い世代は、長い歴史を持つ漢字の美に引き込まれ、漢字と書に新たな命を吹き込んでいる。
演劇界でもチャレンジを続ける人々がいる。嘉義に根を張って14年になる「阮劇団」は、西洋の古典演劇を台湾語で演じ、草の根の力を見せる。
伝統が彼らの行く手を阻むことはない。「限界が見えてこそ、自由を見出すことができる」と侯孝賢監督が語る通りである。
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台北の街を歩けば、曲がりくねった路地や雅な庭園に時間の流れを感じさせる一角がある。
台北万華、日本時代に建てられた新富町市場が改修され生まれ変わった。馬蹄型の建物の内部は明るく、82年前のにぎわいが目に浮かぶようだ。
北投渓の傍らに「草聖」と呼ばれた書家・于右任が晩年を過ごした「梅庭」がある。和洋折衷の邸宅にはその書が飾られ、庭園には梅が緑陰を成し、于右任の風格を思わせる。
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今月の「光華」は、芸術家やNGOが行動と情熱をもってこの大地を守ってきた物語をご紹介する。これからの活躍にも期待していきたい。