モジュールをカスタマイズ
部品の修理や交換も行なう。「私たちは製品を売るだけでなく、サービスやソリューションも販売しています」と陳宗暁は言う。以前、ある顧客でシステムの設計に問題があり、選んだバルブが大きすぎたことがある。保証期間を過ぎていたが、彼らは顧客の問題解決に協力した。また、捷流のバルブ設計はモジュール化されており、部品の損耗や故障があった時は現場の生産を中断せずに部品を交換できる。こうしたカスタマイズサービスによってライバル企業との距離を広げているのである。
現在、工業用バタフライバルブの分野で、捷流の市場占有率は6割を超えており、鉄鋼メーカーや発電所、石油化学プラントなどで用いる巨大バルブは新北市土城の9号工場で生産している。陳建元・副総経理は、5階建ての高さがある吹き抜けの工場で天井を指差し、生産工程を説明してくれた。「9号工場では主に重工業用の大型バルブを生産しています。非常に大きいので、橋型クレーンで吊るさなければなりません」と言う。最近この9号工場から出荷したバルブは、直径136インチ(345センチ)に達する、世界一二を争う巨大なものだった。
9号工場は、捷流の運営本部と科技工場の所在地にあり、ここでは大型バルブの精密加工が行なわれている。グラインダーで仕上げ加工を施すために巨大なバルブは傾けられ、組立工程では出荷前の品質試験が行われている。わずかな漏れもないことを確認しなければ出荷はできない。
今日に至っても、バルブ生産は従来の製造工程が中心で、完全に自動化することはできず、手作業に補助の機械を導入して工程を合理化する程度にとどまっている。そのため、さまざまな作業に目に見えないノウハウが隠されている。陳建元は、テスト中のバルブを指差してこんな喩え話をする。「気密性の高いアルミサッシは完全に密閉していますが、良くないサッシはシューシューと音がします」バルブの気密性を完全に達成できるかどうかは、精密な製造工程と加工技術にかかっている。この点も、捷流が常に業界のトップに立ち続けられる要因なのである。