集落にも貢献する回遊プロジェクト
『台湾原住民創意紙芸』は、台湾では初めて台湾先住民族を主題としたペーパークラフトの本である。本文は中国語、英語、日本語に対応し、台湾先住民16民族を紹介する。先住民族は祖先から伝わる貴重な資産を再発見できるし、さらに世界に台湾先住民族を紹介する最良の手段となる。
2017年に回遊プロジェクトをスタートさせ、ペーパークラフトのキットと組み立て方ガイドを組み合せた『台湾先住民創意紙芸』とともに、クリエィティブ製品としてばかりではなく、文化伝承の手段、生きた文化講座の教材、そして集落の経済に貢献するアイテムとなっている。
心象工作室では、集落の住民向けに加工の指導を行い、報酬を提供することで、住民の信頼を勝ち得てきた。新竹市と台中市、台東県の集落大学に多くのコースを開設し、ペーパークラフトの指導員を養成してきた。これまでに80人余りが修了したが、その7割は先住民族で、部族もアミ族(一番多い)、ブヌン族、プユマ族、タロコ族、ルカイ族、パイワン族、サキザヤ族、タイヤル族、セデック族などである。
ここで育成した指導員は、各地の博物館、図書館、学校、習い事コース、基金会などの場で、500回近い体験イベントを実施してきた。また林務局の協力で、森林公園などで講座を開設して、楽しく先住民族文化を紹介する。
回遊プロジェクトの反響は、台湾から海外に広がっている。コンピュータ展では、ペーパークラフトの体験コースを開設し、台湾の代表的な文化クリエイティブ製品として、海外からの来賓から驚きと絶賛の声が上がった。国語日報の外国人向け華語コース文化講座でも取り上げ、人気のコースとなった。さらにオーストラリアで先住民族の服飾を展示し、台湾の生活文化を紹介したところ、オーストラリアに移住していたアミ族の人々の望郷の心を強く響かせた。
文化のためを理念に事業を行う李永瑞の将来の道は大きく広がっている。心象工作室は文化の伝承に心を尽くし、そのエネルギーをもって、台湾先住民族の豊かな人生を描いていこうとしているのである。

李永瑞と呉權慧は、一枚一枚の紙に台湾先住民族の魂と文化の記憶を込めたいという共通の理想を抱いている。(林格立撮影)

心象工作室はしばしばシード講師育成プログラムを開催し、ペーパークラフトを通して先住民族文化を継承しようとしている。

心象工作室が工夫を凝らしてデザインした立体ペーパークラフト。まず頭飾りと身体を別々に作ってから組み合わせる。(林格立撮影)

心象工作室が工夫を凝らしてデザインした立体ペーパークラフト。まず頭飾りと身体を別々に作ってから組み合わせる。(林格立撮影)

心象工作室が工夫を凝らしてデザインした立体ペーパークラフト。まず頭飾りと身体を別々に作ってから組み合わせる。(林格立撮影)

「国語日報」国際華語コースの文化カリキュラムでは、世界各国の子供たちが先住民族ペーパークラフトの授業を楽しんでいる。