音楽の探求を続ける
コロナ禍の間、東京中央線は音楽を通して社会を元気づけたいと考え、ニューアルバム『Fly By Light』を発行した。その中の一曲「Moonlight Between Towers」は福島紀明の創作で、ホテルで隔離中に窓の外の景色を見た時の思い表現している。「遠距離恋愛」は大竹研の作品だ。メンバーで曲を選ぶとき、パンデミックの中でも良いことはあると伝えたいと考えた。
3人は、客家バンド「生祥楽隊」のメンバーでもある。客家音楽は彼らの創作にどのような影響を及ぼしているのだろう。大竹によると、客家音楽のメロディは変化に富んでいて、その影響から即興演奏する時も、自然と客家山歌の旋律が出るようになったという。早川は林生祥の音楽の「純粋な美」を高く評価している。彼の創作のテーマやメロディはわかりやすく親しみやすいが、とても深いものがあると感じている。福島は、以前は曲のスタイルやリズムの「強さ」を意識していたが、客家音楽から「柔和」であることを学んだという。
ジャズと客家の音楽について、泥灘地浪人のデビッドは「林生祥は、客家の八音とジャズは似ていると言います」と語る。また大竹は、Taiwan Beatsの取材を受けた際にこう語っている。客家音楽には音階の概念がなく、このことはサラ·ヴォーンがアドリブで歌ったときに、ピアノでは演奏できない音調だったと言われていることを思い起こさせた、と。
東京中央線は、客家音楽のほかにもヒップホップのLeo王やロックバンドの落日飛車のドラマー尊龍など、多くのジャンルのアーティストとコラボし、彼らとともに演奏する中で、さまざまな試みをするプロセスを楽しんでいる。今後、どのような台湾のアーティストとコラボしたいかと問うと、彼らは少し考えた後、「縁さえあれば、どなたとでも」と答えた。
サックス奏者の謝明諺が言う通り、東京中央線は特定のスタイルにこだわることはなく、常に音楽の中で思いの限り冒険している。このような姿勢が、彼らに絶えずクロスオーバーな交流の機会をもたらし、台湾の多様な音楽環境の中でさまざまな可能性を追求させている。そして、日本に住んでいる早川と福島が、喜んで台湾との間を行き来しているのは、ここには一緒に音楽を遊べる仲間がまだまだ大勢いるからだ。