新たな趨勢――ジオパーク
これら十大ランドスケープの他に、投票活動では各地の県・市を代表するランドスケープも選出された。基隆市では和平島八斗子、台北市では陽明山国立公園の七星山、桃園県では桃園台北藻礁海岸、雲林県では草嶺山崩、屏東県では墾丁森林遊楽区、澎湖県では桶盤嶼の柱状玄武岩が選ばれた。
林俊全は次のように説明する。我が国では早くから国立公園を定め、国立公園法と文化資産保存法によって自然保留区なども区画され、人為的な活動による自然破壊を防止してきた。今回の投票で選ばれた十大ランドスケープのうち、5ヶ所は既存の自然保護区内にある。
近年、ユネスコは「ジオパーク」を推進しており、これは我が国にとっても将来的なランドスケープ保護の理念となる。
ジオパークとは、地球科学的に重要な自然遺産のある地域で、複数の特徴を有するランドスケープを公園として保全し、利用する仕組みである。現在、国際的な審査を受けて認められたジオパークは世界に100ヶ所あり、韓国の済州島、中国大陸の黄山、日本の洞爺湖、マレーシアのランカウイ島など、世界的な観光地も含まれている。
林俊全によると、ジオパークは科学研究や環境教育の機能を果たすだけでなく、ツーリズムの発展も認められており、地域の雇用促進や経済発展に結び付けることもできる。
台湾は国連加盟国ではないため、国内の特色あるランドスケープを登録することはできないが、国内では近年、林務局や観光局、地方政府、市民などの努力によって、「北部海岸地質公園」「高雄燕巣月世界泥岩悪地地質公園」「台東利吉泥岩悪地地質公園」「雲林草嶺地質公園」「澎湖海洋地質公園」「馬祖地質公園」の6ヶ所がジオパークのモデル区域として区画されている。
水と空気は岩の節理に沿って風化を進めていく。水か岩に鉄分が含まれていれば、酸化によって茶色い風化紋ができる。写真は野柳で見られる美しい風化紋。