メディアはいかなる社会においても極めて重要な役割を担う。情報の伝達、公共の討論、教育文化などの役割を果たし、それが政治や経済などさまざまな方面に影響をおよぼす。今月のカバーストーリ—では、この情報爆発の時代に、情報をいかに速く有効に伝えるかを考えてみたい。
新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、台湾政府は先手を打ってコミュニケーションと協調の能力を発揮し、世界を驚かせたが、これはどのように成し遂げられたのだろう。今月号は、初期の水際対策やフェイクニュース対策、中央感染症指揮センターによる疫学調査、そしてマスク生産ナショナルチームの発足などを振り返り、世界から賞賛される台湾の感染症対策モデルを検討する。
今日の迅速な情報伝達は、インフルエンサーのセルフメディアによるところも大きい。また情報のビジュアル化を業務とするスタートアップ企業の貢献もある。彼らはどのようにして政府の統計と人々が関心を持つ議題や国際情勢を結び付け、数字の背後にある意義を見せてくれるのだろう。このほかに今月号では台湾における「市民参加型予算」の発展状況もご紹介する。これは代議制民主主義の不足を補うもので、一般市民や弱者のニーズをくみ取り、さまざまな分野のコミュニケーションと伝達を促す制度である。
このほかに、今月号もまた台湾各地の美しい物語をご紹介する。台湾鉄道の花蓮から台東にかけて幾つもの駅がリニューアルされた。まるで美術館のような「新城駅」、穀倉のような「富里駅」をご覧いただきたい。南投県草屯の九九峰山麓にある「毓繍美術館」にも美しい物語がある。また、新竹県頭前渓の隆恩堰にある生態系コリドーには、台湾の河川生態保全に力を注ぐ曾晴賢教授の物語がある。魚の立場で考え、回遊魚の遡上の道を確保しているのである。
また、台湾のムスリム・フレンドリーな産業もリポートする。台湾では政府と民間が力を合わせてムスリム旅行者にやさしい環境を創り出している。新住民陶芸家の鍾細霞と、輔仁大学織物・衣類学科を創設した83歳のシスター・マリタ・ラウマンの素晴らしい人生もお読みいただきたい。メディアは諸刃の剣である。良い報道はエスニックや階層の垣根を取り払い、知識や価値観、社会規範を伝え広める責任を負い、さらには文化継承の役割も果たす。これこそ『光華』が40余年にわたって努力し続けてきた目標でもある。