自立を促す援助を
これまで30年の台湾の医療援助も、統合と転換の時期を迎えている。
国際的な医療スタッフの募集は難しくなりつつあり、しかも台湾の駐在医師は現地の人手不足対応となり、中古設備の寄贈も重複したり、現地の需要に対応していないことがある。
募集が難しい医療スタッフは、兵役の代替で補う方向になってきた。
2000年に成立し、2001年より施行された代替役制度に、これまでに821人が応募して、国交のある国に勤務してきた。2012年には100人が外交代替役に応募し、医療では13人が勤務しているが、将来的に兵役が免除されると、人手不足の問題がまた浮上してくることだろう。
衛生署としては、この問題について医学部の学生を夏休みに対外援助に参加させ、国際的視野を広めると共に、医学部の最終年度あるいは研修医1年目に海外実習することを考えている。
また多くの機関が実施して統合されていないという状況には、衛生署国際協力処の副処長が国際合作発展基金会の役職を兼任して人的交流を図り、国際医療衛生委員会が統括責任を負い、資源を統合し、毎年の実施計画を作成するとしている。
将来的には常駐医師団を公衆衛生計画に転換し、短期的な行動医療チーム計画を太平洋友好国臨床医療チーム派遣計画に調整する予定である。これはパプアニューギニアやフィジーなど8ヶ国を対象とし、現地の医療の必要性に応じて、特定の診療科目について技術交流を行い、現地の医療スタッフの能力を引き上げることを目的とする。
臨床医療チームの目的は、与えるのではなく能力を高めて自立させるところにあり、マーシャル諸島での白内障手術、パラグアイでの人工膝関節手術なども、こういった性質の援助である。
救難援助から地域に根を下ろし、援助を受ける側から援助をする側に転換してきた台湾の医療は、人道的考慮を基にしながら、外交にも活路を開く重要な役割を担い、成功を収めてきたのである。
かつてサウジアラビアとの友好関係を深めるために結成された「中サ医療チーム」は、台湾大学の医療スタッフの共通の思い出だ。
ブルキナファソで無料診療を行なう台湾医療団。診察を受けにくるのは女性や子供が多い。