サポーターへのサポート
知的障害者は自己の挫折感を表せないことから、感情的・行動的問題が人より重く表れやすい。知的障害が重いほど、それは深刻になる。
行動に異常が出ると、家族だけでなく養護施設の負担も増え、職員の離職率の高さにつながりやすい。時には体罰を与えたり監禁したりといった不適切な対処になることもある。
このため第一社会福利基金会(以下「第一」)は2007年7月に第一行動ワークショップを成立、現場を巡回し、施設のサポートをすることにした。これらは全て無料、経費はUSBグループの援助による。
現在、台北市など四つの市・県には学校の特殊教育を対象にした問題行動の指導チームがある。だが15歳以上の知的障害者をケアするのは主に民間施設で、より指導を必要としている。ところが政府の支援は遅々として進まず、「第一」が立ち上がることになったのだ。
実際、心身障害者ケア団体にとって「第一」は常に研究や実践のリーダー役であった。台北にシステム完備のデイケア・センターを8所抱え、人材育成や指導に当たってきた。
基金会のディレクターで、長年特殊教育に従事してきた頼美智さんの呼びかけの下、ワークショップはアメリカ在住のベテラン・セラピスト施顕烇;さんを顧問に招き、精神科医の林亮吟さん、問題行動指導専門家の郭色嬌さんと張文嬿;さん、それに行動セラピストとソーシャルワーカー各1人を加え、チームの士気は非常に高い。
「指導の第一歩は、相手の立場に立つこと。生徒を喜怒哀楽のある『人』としてとらえること」と頼さんは言う。そして問題行動の裏に隠れるものを見つける。例えば、食卓に着くなりトレイごと食事を引っくり返す生徒は、皿の上の卵料理が嫌いなのかもしれないし、隣の大人が無闇に食事を口に運んでくるのが嫌なのかもしれない。状況の理解に努めたうえで、生徒の感情的予兆に注意したり、生徒に問いかけたりする。また、生徒が絵カードで気持ちを表現できるよう訓練する。コミュニケーションができるようになれば、メニューの選び方を学ばせるなど、自主的能力を高める。そして、精神科医療やカウンセラー、特殊教育などとの連携も不可欠である。
知的障害者は健常者より挫折などの感情的な問題に直面しやすく、それを表現したり自分で処理したりするのが困難なため、周囲の人の包容と協力を必要とする。