様々な仕事を宿泊と交換
普通、民宿が提供する仕事は「一般交換」と「専門交換」に大別できる。一般交換は清掃や朝食準備、皿洗い、除草など労力型の仕事である。専門交換は新メニュー開発、ウェブサイト翻訳、壁面アート、インテリア、フラワーアレンジ、ガーデニング、ガイド、フィールド調査、コンサートなどがある。
民宿業者によって需要も異なり、写真撮影をしてほしい、旅行記事を書いてほしい、単に民宿オーナーにフェイスブックやブログ、ウェイボーの使い方を教えるだけということもある。宿泊日程と交換内容を確認した後、協力備忘録に署名を交して、一日の労働時間も含め互いの権利を保障する。
白志棠によると、一般交換の仕事の内容を理解することは、民宿オーナーのアシスタントになることを意味する。民宿経営を夢見る人にはいい入門学習になる。だが一般交換は制限や要求が多く、通常朝7時には起床して労働しなければならない。5時起きで朝食の手伝いをする場合もある。誰でもできる仕事だから、マッチング成功率も自由度も専門交換より劣る。
一方、専門交換の仕事は多様である。国立高雄餐旅大学の学生が宜蘭の北成庄で蓮づくしメニューの開発を手伝い、香港の経済学部の大学生は、アートへの愛から花蓮の欣緑農園に招かれ、壁を塗り替え、部屋の壁には自分の絵を残した。
香港のグラフィックデザイナー洪婷婷は今年5月に澎湖の民宿「遇見(出会い)」を訪れた。ベッドメイクや朝食準備のほか、冷房、音楽、香水、冷水を準備し、訪れた客がくつろげるようにした。また、特技を活かして、オーナー徐鳴懋が香港で旅行見本市に出展するパンフレットのデザインも手伝った。
オーナーによっては変わった需要もある。台東の青山農場夫婦は多忙なため、幼児リズミックダンスの達人を探している。お客の子供と一緒に、歌やダンスや体操をしてもらうのである。南投の老五民宿のオーナー盧振旭はマラソン好きで、ワークステイの旅人をロードレースに誘ったこともある。
老五民宿では面白い仕事を体験できる。酢の醸造、瓶詰め、天山嶺有機農場で草取り、虫取り、野菜作り、甘喜葡萄園で袋かけ、収穫、マントウ店では薪焚き手作りマントウを作る。
盧振旭の印象に残る台湾系アメリカ人のジャネットは、昨年初めて一人で台湾に帰り親戚友人を訪ね、ワークステイに参加した。多才な彼女は作詞作曲、ギターにドラムができ、夜は弾き語りで客を楽しませた。そうして1ヵ月が過ぎ、航空券の日付も過ぎて、はたとアメリカに帰らねばと気づいた。
夜は客とふれあい、おしゃべりするのも仕事のうちである。澎湖の民宿「遇見」の女性オーナー曽婉婷の心づくしで、宿泊客は入室前にビール券を1枚もらえるから、夜9時過ぎには庭でビールを飲みながら星空を眺める客がいる。だからワークステイで来ている人もおしゃべりに加わり、互いの旅の経験を交換してほしいと願っている。
11:00 AM チェックアウトが済んだら客室の掃除。