殻を破って動画も
「央広の法的任務は、国際社会での『国家のニュースと情報の伝播』です。ただし、その形態や方法は限定されていません」2017年1月1日から央広の総局長を務める邵立中は、8年前にやりかけだった変革を積極的に推し進める。「インターネットが発達し、皆がスマホで情報を得る時代ですから、音だけでなく映像が必要です。ネットや動画という利器を駆使して世界とつながらなければなりません」メディアは殻にこもらず時代の先端を行くべきだと、邵は経営者としての気迫を示す。
「かつては短波放送だったので、台湾のリスナーは私たちの番組を聞けませんでした」と編成部マネジャーの袁碧雯は言う。だがデジタル社会の現代ではその問題もない。今や即時性のある、専門的で生き生きとした番組が必要とされる。デジタルの利点を生かせば、伝播効率を高め、人気度も把握でき、番組の質の向上につながる。
実は「アジアの声」を名乗っていた頃にもすでに多様な番組作りがなされていた。「報道番組と語学教育番組で大いに特色を発揮しました」と袁碧雯は言う。そして2017年に央広は、国内外で11の賞にノミネートされ、5賞を獲得した。AIB国際メディアコンクールでは、同性カップルの家庭を扱った「陽光下的彩虹(陽光下の虹)」でドキュメンタリーの最優秀賞に輝いた。丁寧な番組作りが認められただけでなく、人権を尊重する台湾社会の様子を世界に伝えることになった。
番組「21点聴台湾(21時台湾を聞く)」は、52回広播金鐘奨(ラジオ部門金鐘賞)で「ソーシャルケア番組賞」と個人賞の「ソーシャルケア番組ホスト賞」に輝き、また同番組の「永不回頭(決して振り返らない)」は受刑者の高齢化問題を取り上げ、中華ジャーナリスト協会による「社会光明面新聞報道奨」も受賞した。央広は、社会問題への一般大衆の関心を高めるという社会的責任も果たしている。
中央広播電台総局長の邵立中は経営者としての視野から「央広」のオンライン化、映像化、多言語化を進めている。(林格立撮影)