破竹の勢い
実は、集集タケノコグループのタケノコ栽培経験年数は短い。果樹農家からの転向がほとんどで、かつては生産過剰で価格暴落というつらい経験を誰もがしてきたが、リーダーの郭麗婷の「出会い」に助けられるこことなる。
かつてはバナナ農家だった郭麗婷が、緑竹とのなれそめを語ってくれた。2018年に台南白河のタケノコ農家、張国禎に出会った際、地熱のある集集はタケノコ栽培に適していると勧められた。そこで夫の楊志琛とタケノコを植えてみたのだ。
1年間の「実験」中には、肥料を間違えて繊維の粗いタケノコができたこともあるし、逆境の中の方が芽を出すのではと竹を揺らすなどさまざまなことを試みた、と楊志琛は語る。郭麗婷は「瓢箪から駒が出たようなものかも」と笑う。思いがけず2018年の冬、本当に緑竹タケノコの栽培に成功したのだ。
冬にもタケノコが採れるということで、台北市農産運銷公司(以下「北農」)が買ってくれた。それを知った農業委員会農糧署からも、「過剰生産で収入減につながることが多いバナナやドラゴンフルーツを栽培するより、集集は緑竹栽培を始めたほうがいい」と勧められた。
「私たちのリーダーは包み隠さず、使用する肥料や細かい注意点について教えてくれました」と副リーダーの郭玉発は言う。
だが「商売の違いは山を隔てるほど遠い」という言葉もある。ゼロからスタートのメンバーは真面目に農業専門家の講義を受け、施肥管理を行なった。そして経験は浅いながらも独自の改良にも励んだ。その一つが上述の「タケノコを叩く」方法だ。郭玉発の説明によると、これまでの方法は古いタケノコの地下茎は取り除いて新しい竹を残すというものだが、ショベルカーで取り除いてもらうのに1回少なくとも6800元かかり、決して安くはないという。そばにいた唐慶煌も口をはさみ、「正直言って、私たちは怠けているのです。毎年取り除く必要がなく、8年ごとに1回やるだけでいい。農業経営の専門用語で言えば、投資収益率の向上ですね」と言った。
2018年12月設立の集集グループのメンバーは当初18人、栽培面積10ヘクタール余りで始めたが、全員に順調に収益が出て、やがて中寮や竹山からも参加者が増えて今やメンバーは33人、栽培面積は40~50ヘクタールに成長した。
かつてのタケノコ農家は、朝市で売るために夜中に収穫しなければならず、タケノコ採りは「幽霊との闘いだ」と言われたほどだった。だが集集タケノコグループは予冷処理を行い、早朝に収穫したものをコールドチェーンで輸送するので、消費者は新鮮で甘い緑竹を食べることができる。
郭麗婷は同時に収穫時期の調整も行っている。毎年5~7月の緑竹の最盛期には出荷を控え、それを過ぎて稀少価値が出た頃に出荷して、良い価格で売るのだ。「私たちのグループは実験と研究に意欲的で、しかも非常に団結しており、誰もがリーダーの言うことをよく聞いてくれます」と彼女は言う。
今年2月と3月、彼らの冬のタケノコは、北農で1キロ平均500~600元で、最高価格は1キロ890元をつけた。集集タケノコグループは竹を金に変えることに成功したと言えよう。