国際交流と経験交換
国際交流では、韓国の社会的企業ネットの李哲永事務長から、政府が強力に主導し、計画的に育成したために社会的企業は急速に発展しているが、同時に民間の活力を削ぐマイナス面があると指摘があった。
日本の株式会社ナイスの竹中伸五取締役からは、大阪市の福祉施設の運営モデルの紹介があった。その話は台湾の現段階の都市再計画と土地収用の問題におよび、居住権の論争については、硬直化した善悪の二極対立以外に別の解決方法があることを示した。
イギリスのUnLtd.社会企業家協会のキャサリン・ダントン氏は、社会的企業の資金源の多様性を分析した。よくあるベンチャーキャピタルだけではなく、ロトくじの基金、財団資金など、様々な資金調達が考えらえるという。
経験交換のテーマでは、特に障害者の雇用問題、ハイテクリソース、金融システムなどをテーマに、多くの企業家を招いて討論した。
その中で「ハイテクによる社会福祉」をテーマに講演した小智研発の責任者黄謙智は、開口一番に「小智研発は最大の利益を追求してきたので社会的企業ではありません。ただ、会社設立の趣旨をハイテクとリサイクルによる環境保護問題の解決に定めただけです」と話した。
開催側の輔仁大学社会学科の呉宗昇主任は、台湾の社会的企業思想には多種の刺激が必要だとして「小智研発だけではなく、日本の株式会社ナイスも自身を社会的企業と定義していませんが、広義に言えば社会的企業に含まれます。出発点が何であろうと、社会への貢献をもって改善を進めるエネルギーがあれば、それは社会的企業と言えるのですから」と語る。
輔仁大学は2009年に台湾社会企業創新創業学会を設立し、台湾では知られていなかった社会的企業の認知を広めて、わずか4年でこのブームを巻き起こした。公益団体の間で人のために自立する起業の波が広がり、さらに若い起業家は「良い事をして金を稼ぎ、稼いだ金で良い事をする」をモットーに掲げるようになった。
輔仁大学社会企業研究所は積極的に現場に出て行き、文化クリエイティブ、農業、公益メディア、フェアトレードなどの事例を発掘し、学術によって産業発展の方向を導こうとしている。