創作台湾料理
風味豊かな伝統的台湾料理の他に、最近は創作料理が注目されている。
作家の焦桐は著書『台湾味道』の中で、外国の友人が訪ねてくるたびに「食養山房」へ新しい宜蘭料理を食べに行くと述べている。
焦桐が特に推薦するのは、同店が独自に開発した前菜の「山泉豆腐」だ。「清純、純白で繊細、しっとりとして滑らかで、ほんの少しの抹茶と醤油で味わうと、清らかで淡い美味が食へといざなう」と言う。
食養山房は台湾の庭園式レストランの元祖だ。北宜公路に開店した後、新店、陽明山、汐止へと移転してきたが、変わらないのは借景の心である。周囲の山々や雲や林を食の環境としてとらえ、それらが客の心を落ち着かせ、料理の味を引き立ててくれる。一人ひとりのために繊細に盛り付けた懐石料理のような形式も、伝統の台湾料理では見られないものだ。
このように一人分の器に美しく盛り付ける形を採るレストランは増えているが、周囲の景観まで考慮する店は少ない。
宜蘭の「麟手創」は総料理長の邱清沢が率いるチームが2011年の台湾美食展の世界料理コンクールで優勝した。邱清沢によると、名シェフの陳兆麟が経営する「渡小月」と違い、創作料理の「麟手創」のお客は地元より余所の土地から来た人の方が多く、外国人も多いと言う。
梅とサツマイモ、苦瓜、XO醤で人生の酸い、甘い、苦い、辛いを表現した前菜、大根の古漬けと鶏のスープ、イセエビの糕渣(スープに片栗粉などを入れて固めて揚げたもの)など、地元の食材を用いた創作料理が次々と登場する。一番の人気は、シラスとカニ肉と鶏スープの粥だ。おいしくて満腹になるコースは1200元、チャンピオンコースは1人3000元だ。
「食養山房」では盛り付けにも風景を取り入れ、味を一層引き立てている。写真は冷たい果実酢。