世界のIP競争——コンテンツと題材
政府文化部文化コンテンツ策進院が2020年末に発表した「文化コンテンツ消費趨勢調査報告」を見ると、台湾人の将来の「読書」の趨勢が読み取れる。
奇異果は文化コンテンツ策進院の諮問会議にしばしば招かれて意見を出している。奇異果クリエイティブ‧ディレクターの劉定綱は「クリエイティブなIPであれば、奇異果出版のものであるかどうかにかかわらず、推進したいと考えています」と言う。その話によると、政府はすでにCCC(Creative Comic Collection)創作集デジタルプラットフォームの継続を決めており、国内の関連業者も知的財産ビジネスの国際化を意識し始めているという。
「現在のIP産業ではコンテンツがそのまま産業になります。どのような販売形態でも、商品がコンテンツであれば、それはIPビジネスです」と劉定綱はIPビジネスの範囲の広さを説明する。「IP産業を成長させるにはデジタルプラットフォームが必要で、IPビジネスは作品の複製を通して市場の注目度を維持します」
「例えばYouTubeの動画を作る場合、写真や図や文字(字幕または画面上のキーワード)、それに音が必要になります」と劉定綱は、現在巨大な経済効果を上げるIPプラットフォームを例に挙げる。「情報革命により、多様な複合メディアが誕生し、一部のクリエイターはIPビジネスで成功しています」と言う。
例えば、マーベル‧コミックの『アベンジャーズ』は良い例だと劉定綱は言う。「『アベンジャーズ』シリーズに続いてIPシリーズの新作を次々と打ち出すことで、登場人物の生い立ちやエピソードなどに対する消費者の興味を維持することができます。さらに周辺商品も生まれ、これによってコンテンツの価値を高め、継続することができるのです」と言う。
IPビジネスではコンテンツの他に題材も重要だ。「読書の好みも変わりました。良いIPはエンターテイメントの形で読者に感動や思考をもたらし、共感を呼び、人生を考えさせたり、社会現象に関心を持たせたりします」と奇異果の廖之韻‧編集長は言う。大衆の好みの変化は情報化時代の必然的な現象で、IP創作は文化や思想、生活などと緊密に結びつくことができる。
同じ奇異果の漫画社会学シリーズの『本本的誕生』は同人誌の二次創作をテーマとしており、業界の著名人がオタク文化を解析する一冊だ。