近づくことで親しくなる
役者から裏方までの緊密な共同制作は台湾とシンガポールとの間でも初めてのものだ。
台湾側では王小棣がドラマ全体のディレクターと脚本統括、二つの物語の企画を担当、シンガポールではメディアコープのレオン‧ライリンがシンガポールでの撮影とポストプロダクションを担当した。台湾編は台湾の柯貞年とシンガポールのドリーン‧ヤップが監督し、それぞれに台湾のスタッフがついた。シンガポール編は台湾の曾培善とシンガポールのマーティン‧チャンが監督し、それぞれに現地のスタッフがつくという形を採り、監督が自分のスタッフを連れて撮影に行くという従来の方法と大きく異なっている。
4組のチームが2ヶ国の4ヶ所で同時に撮影し、物語が2編に分かれているため、脚本について双方で時間をかけて話し合い、撮影方法などを統一し、さらに両国それぞれの文化的特色を自然にドラマに取り入れることにした。双方とも華語を話すが、風土や文化の違いもあり、シンガポール人は英語や他の方言を交えながら話す。例えばシンガポールでは随意に英単語の初めの部分を形容詞的に使う。例えば、「そんなにエモになるな」などと言われると台湾人には分からないが、エモーショナル(感情的)の意味なのである。
シンガポールの映画でも登場人物は華語と英語を入り混ぜて話し、語尾にラとかロをつけ、独特のシンガポール式英語を話す。王小棣はシンガポール人俳優のセリフにはシンガポール式英語を多く取り入れたが、後になってシンガポールのTVドラマでは、方言を入れず標準の華語を使うというルールを知り、調整する必要があった。

4組のクルーは、より良い効果を上げたいという思いから、海へ山へとロケに奔走した。