高度な自己要求
労働者の毎日は忙しい。どうやって読書や執筆などの時間を作るのだろう。YuheRinaさんはこう言う。会員メンバーの性格は一般の人と異なる。とりわけ自己への要求が厳しく、「学習への強い動機、つまり自己を磨き、台湾や外国で学んだ知識や技能によって、帰国後に祖国に貢献しようという気持ちが強いのです」と。
台湾にはインドネシアでは学べない、学ぶ場もない知識があるので、労働者は台湾の学習環境を大切にする。BNIにある二つの教室は、インドネシアからの移住労働者が英語やコンピュータを学べるよう無償で提供されている。インドネシア語の雑誌「Indosura」の編集者Mira LuxitaさんはオフィスがBNIと同じ場所にあるのと、同郷のよしみから、積極的に会を訪れ、書籍を借りたり自分でも貸し出したりしている。
時間の工面についてYuheRinaさんはBunda Umyさんの例を挙げる。彼女の優れた中国語力が時間を作る重要な要素になったというのだ。Umyさんも雇用主を説得することが大切だという。こんな経験があるからだ。
多才なUmyさんは歌も上手で、2016年に台湾のアーティスト3人との共同による『サウンド・ルート:スペックスの歌』(オランダ人と日本人の血を引くサラ・スペックスの物語を歌で演じたもの)でボーカルを務めた。週に1度しか休みのないUmyさんは雇い主と話し合い、仕事に影響しない暇な時間に、アーティストに雇い主の家まで来てもらい、練習を重ねたのだ。台湾人に馴染み深い『安平追想曲』を彼女がインドネシア訛りの台湾語で歌うと、思いがけず作品の聞かせどころとなった。歌う側も聞く側も自分の歴史的記憶や人生の思い寄せたのである。
Umyさんは台湾での契約終了後、帰国してジャワ中部の故郷で書店を経営しながら、ロックの好きな息子とともに歌を作る計画を立てている。同様のことがメンバーにはよくある。異国で得た知識と忍耐強さを母国に持ち帰ることで、プラスの方向へと道が開けるのだ。各種技能や言語能力、そして執筆や表現することも学んだ多くのメンバーが、帰国後は以前より良い仕事に就いていると、YuheRinaさんは言う。

FLP台湾ブランチを創設したYuheRina Gusmanさんは、常に会合に参加し、オンライン指導も行っている。