エネルギーウォーター?
「良い水」を飲むことも、良いエネルギーの摂取につながる。
最近、水が原因で裁判沙汰になる事件があった。驚くほどの治療効果があると売られていたエネルギーウォーターを、8本2万元で買った人が「飲んでも何の効果もない。詐欺だ」と、裁判所に訴え出たのである。
化学的検査の結果、エネルギーウォーターの成分は水素と酸素だった。つまり一般の水と変わりなく、特殊なエネルギーを持つとは認められない。それ以降、エネルギーウォーターと言えば、インチキ商品やエセ科学の代名詞となってしまった。
「質のいい水を」と力説してきた楊定一さんも、これらの事件と同類と見なされるのを恐れ、今ではエネルギーウォーターには一切ふれず、ただ「良い水」と言うようにしている。
体の70%は水分である(体重50キロなら35リットルが水分)人間にとって、水はエネルギーの大もとであり、生物エネルギーの源であるということは、少しも大げさでない。
水が人にとって重要であるからこそ、健康への願いは水へと向けられ続けてきた。さまざまな機能を持つ浄水器や、世界各地からもたらされるエネルギーウォーターがまさにそれだ。電解水、イオン水、ピュアウォーター、天然ミネラルウォーターなど、低価格のものでも1本20〜30元はするが、人々は大量に買い求める。
日本ではしばらく前に、深海の水に宇宙エネルギーが含まれることが科学的に証明された。高知県室戸市の海洋深層水研究所が、海面下320メートルの海水に60数種の鉱物が含まれること、そしてそれが海洋生物の成長を促進するだけでなく、ある種の皮膚炎にも治療効果のあることを発見したのである。海洋深層水はまたたくうちに評判となり、21世紀の大発見と騒がれた。ネット上では1本30mlの水が340台湾元で売られており、それを用いた化粧品も販売されている。
長生きの秘密
楊定一さんは水の研究を続けて20数年になる。その話によれば、水は体内であらゆる物質交換の媒介となるだけでなく、最上の溶剤でもある。水に物質が溶け込むことで、新陳代謝や消化、排出などの作用は進みやすくなる。細胞内では水分は必ず有機物と結合するため、細胞への水の浸透性や溶解度は、人体の細胞活動に直接影響するのである。
水に対する楊さんの思い入れには、ある経験が関係している。
1986年頃、アメリカ国立衛生研究所の補完代替医療センターによって長寿村の研究が進められ、楊さんはその研究に加わった。彼を含む10数名の科学者が、ヒマラヤのふもとにあるフンザ村や、グアテマラのマヤ人の村、日本の沖縄の村落などで長寿の研究を進めたのである。
長寿村は多くが僻地にあり、人々は過酷な農作業に従事していた。とりわけ楊さんの目を引いたのは長寿村には一つの共通点があることだった。どの村にも天然で上質の水があったのである。
「どの場所の水も格別でした」と楊さんは言う。いずれも高山から流れてくるか、地下から湧き出る水だった。つまり地球との共振によって衝撃や流動が加わった水だった。地質内のいくつかの元素と水とが摩擦することによって高電位エネルギーの転換を起こす。それによって汚染物質が除去されたり、微量元素が混じることで、水は酸性から弱アルカリ性に変わっていたのである。水の分子団も絶えず摩擦と衝撃にさらされて小さな分子団となり、吸収されやすくなっていた。
生物の立場から見れば、良い水の分子は小さく、細胞に浸透しやすい。つまり、より多くのエネルギーや酸素を細胞内に取り込みやすく、新陳代謝を促進する。同時に、細胞内の老廃物を伴って体外へと排出してくれるので、細胞を活性化し、免疫力を高める。人間だけでなく、花にやったり魚を育てる水槽に使ったり、ペットに与えてもいい。
良酒の如く
良い水は良い酒と同じで、一口飲めばわかる。「多くの動物にも実験を行ってきましたが、野生動物は本能的に良い水を知っています。確実に良い水を選びます」と楊さんは言う。
良い水は自然の中にあるのだから、作り出す必要はない。だが天然の良い水には限りがある。自分の家の水道から出る水が良い水にならないか、それが楊さんの研究の目指すものだ。
水について、人は多くを誤解している。まず解かなくてはならない誤解は「アルカリ性の水がいい水だ」という考えだ、と楊さんは感じている。
「水をアルカリ性にする方法は簡単です。でもアルカリ性の水自体が体にいいなどということはありません。大切なのは、どのような材料で水をアルカリ性水に変えたかなのです」
長庚生物科技所が開発した水活性化装置は、自然における真空内爆発や旋風といった現象を模倣して、簡単な設備と物理的原理によって水の構造を変化させ、同時に人体に必要な微量元素を加えるものである。こうやって生み出された水は、安全、健康、衛生、健全な心、環境保護という五大指標にかなうものとなる。
心から開始
さらに驚くべきことに、水には感応力や記憶力があるという。
日本のIHM総合研究所の江本勝博士の研究によれば、水は文字や音、意念といった情報エネルギーを感じることができ、しかもそれが波動に影響する。善良や感謝、神聖といった情報を与えると、水は美しく完璧な結晶を作り上げる。反対に、恨みや苦痛、焦りなどの情報を与えると、醜い形の結晶を作り出すという。
同研究所が出版した『水からの伝言』には、高速撮影による水のさまざまな結晶の写真を載せてあり、大いに物議をかもした。
「真のエネルギーは内から外へと出てくるものです」と楊さんは説明する。人が感謝の心や思いやりを持つと心臓の動く速度に変化が生じ、それが天地と共振するまでになる。同様に、人が善良な思いを持てば、水は美しい結晶を作り上げ、それによって育つ植物も豊かな実りをつける。人の思いが持つエネルギーとはこのように大きいのである。
「良い水を作るにせよ、良い水を飲むにせよ、心が善良であることが大切です。それでこそ、真のエネルギーウォーターとなり得るのです」と楊さんは言う。
まずは心から始め、環境、大自然、宇宙に対し優しい心を保つ。そうやって自分を修練すれば、楊さんの言うように「内から外へ」のエネルギーが、山河をも動かす力を持ち得るかもしれない。