1993年の新年スタートで、「光華」カバーストーリーに載ったサイの写真が読者の目を引いた。当時、サイの角の粉末が滋養強壮に良いとして売られていることが海外の動物保護団体から指摘され、台湾は非難の的となっていたのだ。
動物保護と長年の習慣、この両者にどう折り合いをつけるか、議論が巻き起こった。そこで「光華」では、動物保護団体と国内外専門家の双方による意見を紹介した。「天秤の両端は対立するものでない」という言い方があるが、環境保全と伝統文化の間にも同じことが言えた。
環境保護問題では、「犀角事件」でスタートを切った後、同年4月号(日本語版5月号)「老樹保護運動」で、樹齢百年を超える老樹の保存意義を取り上げた。かつてはあまり大切にされなかったが、今では「先人は木を植え、後人は涼をとる」と言うように、老樹は都市に欠かせない風景となっている。
環境意識の高まりに伴い、「環境にやさしい」という言葉は、商品の宣伝文句にも頻繁に用いられ、消費者もそうした商品を選び始めた。イギリスで始まったグリーン・コンシューマーリズム(環境にやさしい製品を買おうという運動)の風は、台湾にも吹くようになったのである。
民間団体の懸命な呼びかけで、企業の意識も変わってきた。台湾の製紙業大手「永豊紙業」は再生紙の開発に取り組み、食品業の「義美」も商品のエコ包装を始めた。
各種の先進的な考えが1990年代には台湾にも浸透した。老樹を大切にすることも、エコ製品を選んで買うことも、まずは自ら実践してみることが、環境保護を知る最上の方法だろう。
サイの角が漢方薬として使われている問題が注目されたことで、台湾社会で自然保護と生命尊重の意識がさらに高まり、1990年代には環境にやさしい消費が求められるようになった。
サイの角が漢方薬として使われている問題が注目されたことで、台湾社会で自然保護と生命尊重の意識がさらに高まり、1990年代には環境にやさしい消費が求められるようになった。