台湾アニメの生きる道
台湾アニメは12年にわたって金馬賞で脚光を浴びることはなかったが、ようやく邱立偉の『小猫巴克里(Barkley)』が登場した。邱立偉はアニメ創作の道を20年余り歩んできた。
大学院を出た邱立偉は、かつて経済部のプロジェクトに参加してハリウッドに3Dアニメの研究員として派遣され、ニューヨークでアーティスト・イン・レジデンスも経験し、さらに何年か教員もやったが、創作を忘れることはできなかった。「考えている時は美しいのですが、実際にやると苦痛ばかりで、常にそのギャップの中にいます」と語る。
彼は受託制作ではなく、オリジナルアニメの道を選び、studio2兎子創意を設立した。最初の作品は模索しつつ、脚本の郝広才と共同で林良のエッセイ集『小太陽』をアニメ化した。だが「誰に、どう売るのか」邱立偉には何の考えもなかった。版権取引の見本市に出展する方法も、開発段階での見積もり方法も、版権契約の内容も何も知らず、少しずつ理解していくしかなかった。
『小太陽』は金鐘賞で評価され、東南アジアでも業績を上げた。だが、アジアの家庭を背景とした物語では欧米市場には参入できず、方向転換することを決めた。文化は前面に出さず、キャラクターを際立たせるという方針で完成したのが『小猫巴克里(Barkley)』シリーズだ。
都会の猫のBarkleyが、ひょんなことから田舎へ行き、純朴な住民たちと心を通わせる物語だ。テーマは友情や親子の愛情ではなく、都市と地方の格差や環境問題などを扱う。例えば「迷子の熊」では、棲息地が破壊されたため食べ物を探して山を下りてきた熊のために、村人たちが新しい家を建ててあげる物語だ。こうした物語で『小猫巴克里』は内外の人々の心をつかみ、今では30カ国以上で放送されている。
この作品に続いて、邱立偉は2014年に新たなシリーズ『少年観測站(Weather Boy)』を打ち出した。地球温暖化をテーマとした作品だ。主人公のジミーは、気象を研究している父親の関係で冒険の旅を始める。台湾人だけでなく、アメリカやフランスの科学者も登場させ、「企画の段階で、海外市場展開も考えました」と言う。
『幸福路上(オン ハピネスロード)』の主人公、林淑琪はアメリカから故郷台湾に帰り、人生の拠り所を探し求める。(幸福路映画社提供)