逆風の中で前進する
反抗的で孤独な少年は、愛情を注がれず、勉強でも挫折し、家庭や学校に居場所を見つけられなくなるが、社会から切り離すことはできない。
政府内政部の社会福祉予算を見ると、年間約700万元のうち青少年のための予算は1〜2%に過ぎず、この分野に関心を注ぐ団体も少ない。
毎年25〜30人の生徒を受け入れ、9名の指導員を抱えるエリム少年学園の場合、年間予算800万の半分は政府からの補助金だが、残りの半分は永齢基金会などの民間機関や小口の寄付に頼っている。
行政院主計処の統計を見ると15〜19歳の青少年は全台湾で162万人、青少年の失業率は11%に達し、全国平均失業率の2倍に達する。主計処の「人材資源調査」報告を見ると、2000年以降、毎年平均15万人近い青少年が雇用市場に出るが、そのうち2万人は仕事が見つからない。
「台湾少年権益および福祉促進連盟」秘書長の葉大華さんによると、世界では青少年政策の中でも特に就職が優先的な課題になっている。
2008年末に政府の青年輔導委員会はこうした層に対して「少年 On Light 育成指導計画」を打ち出した。キャリアプランの探索、体験教育、就職力養成カリキュラムなどを行ない、性格や興味によって実習を行なって100元の時給は政府が支給する。すでに900人がこの指導を受けて約8割が就職または就学している。
「台湾少年権益および福祉促進連盟」も2009年からファミリーマートと共同で「逆風少年大歩走計画」を打ち出し、弱者青少年のコンサルティングや職場学習、就職指導などを行ない、200人が無職・無就学の状態を抜け出した。
葉大華さんによると、台湾では長年、児童や少年の権益が重視されておらず、社会の公共資産として全面的な政策を推進するのではなく、個別案件として補助や救済をするという考えにとどまってきた。ソーシャルワークなどの専門人材はいても、児童・少年の主体性に対する考え方を変えなければ問題は解決できないと指摘する。
畑の棚を修理し、土を混ぜて苗を育てるまで全て少年たちが自分で行なう。エリム農場で栽培される鉢植えは品質が安定していて台北各地の生花市場へ卸されており、個人の寄付による購入も受け付けている。