新南向政策とつながる人材育成
これは外交部が初めて新南向政策(東南アジアや南アジア、オーストラレーシアの18ヶ国との協力と交流を強化する政策)の対象国の若者たちに向けて実施した人材育成プロジェクトである。協力した3つの大学が厳格な審査を行ない、6ヶ国から250人を超える応募のあった学生の中から50人を選出し、5ヶ月にわたるカリキュラムに参加してもらうというものだ。
1月7日に行なわれた修了式で、外交部の田中光・政務次官が「時のたつのは速いもので、始業式がまるで昨日のことのように思える」と語ると、学生たちもうなづいていた。
田中光政務次官は、人材育成は新南向政策における重要な一環だと語った。これらの国の若者たちが教科書や報道などだけを通して得た台湾に関する知識は絶対的に不十分なので、外交部は人材育成カリキュラムを設けて学生たちを台湾に招くことにしたのである。プログラムでは半導体やバイオテクノロジー、地域研究などの課程のほかに、華語や台湾文化に関する授業も提供し、台湾のソフトパワーを示すものとなった。学生たちを受け入れた大学は、それぞれの強みを活かして特色あるカリキュラムを提供した。
台北医学大学は、学生たちが選択履修できるよう60余りのカリキュラムを用意した。学生の大部分は大学生だが、ベトナムやインドネシアからは現役の医師や看護師、大学講師なども参加し、彼らは応用感染症学や国際公衆衛生、精神神経科学、基礎プログラム言語なども学んだ。
ベトナムのホーチミン市立腫瘍病院で医師を務めるChau Hoang Minh Vuさんは、台湾の医学生は中医薬も学べ、中国と西洋の医学を合わせた教育が受けられるが、これはベトナムではかなわないことだと語った。山登りの好きなVuさんは、授業の合間に四獣山や陽明山などにも登り、「台北医学大学で学んだAIやデータサイエンスなどは非常に役に立ちます」と言う。
台北科技大学は専門的な半導体カリキュラムを提供した。マレーシアのトゥンク・アブドゥル・ラーマン大学から来た華僑学生の林道暄さんは、化学工学を専攻している。マレーシアのペナンにも半導体クラスターがあるが、台北科技大学での半導体のカリキュラムは大きく目を開かせてくれ、非常に役に立ったと語る。
同じ大学の電気学科に学ぶ張家競さんは、マレーシアで受ける半導体の授業に比べても、台湾でのカリキュラムは深くて詳細で、大きな収穫を得ることができたと語った。
新南向政策の対象国から来た学生たちは、台湾でたくさんのものを学び、素晴らしい「台湾経験」を故郷へ持ち帰った。