台湾のファン
2013年、1ヶ月の間に台湾への移住を決意した彼は、台湾出身の恋人でオーストラリアの永住権取得が間近にせまっていた黄恵慈(ジョアンナ)さんも連れて台湾へ行くことにした。
台湾に到着するや否や、彼はジョアンナさんを連れて、台北公館に麻辣鴨血(固めたアヒルの血が入ったピリ辛スープ)を食べに行った。「台北のことは良く知っていると言いたかったのでしょう」とジョアンナさんは言う。苗栗県通宵の出身で、彫りが深く、よく外国人と間違えられる彼女は、「本当に台湾が好きになったのは、彼と一緒に帰国してからのことです」と言う。
二人が出会ったのは2009年のことだ。Fifieldさんと同じソフトウェアのエンジニアである彼女は、中央研究院からジュネーブに派遣されていた。バルセロナで開かれた国際会議に参加した時にFifieldさんと出会い、すぐに親しくなり、それまでは結婚しない主義だったジョアンナさんも心を動かされた。
それぞれスイスとオーストラリアに戻ってからも毎日連絡を取り合ってきた。遠距離恋愛はやめようと思い、ジョアンナさんはオーストラリアのビクトリア州政府で働き始め、2013年にFifieldさんと一緒に台湾へ戻ることにしたのである。
2019年6月、二人は結婚した。15ヶ国から集まる来賓のために、彼らは「6月15日に結婚します」というサイトを開いた。両替の方法やホテルの情報などまであり、「中華民国外交部の宣伝サイトのようだ」と言われた。結婚式の当日は、まず故宮博物院の至善園でもてなしながら切り紙や茶などの台湾文化を紹介し、続いて士林夜市にある古い民家を使ったレストランで披露宴を行ない、披露宴の後は夜市を楽しめるようにした。これらの工夫は、家族や友人たちに台湾の素晴らしさを体験してもらうためでもあった。
Fifieldさんの家族も台湾が大好きだという。バレリーナでもある母親のDenise Fifieldさんも、世界中を旅してきたが、台湾は第二の故郷だと語っている。
結婚式に15ヶ国から集まった来賓のために、二人は故宮博物院の至善園で台湾文化を紹介する会を開いた。(Tom Fifield提供)