海に囲まれた台湾は、気候も環境も生物も文化もすべて「海」と密接にかかわっている。台湾は海によって形作られ、海が豊かな天然資源をもたらす。だが、その資源は無尽蔵にあるわけではない。大切に守っていかなければ持続可能な発展は成し得ない。
今月の『光華』は海洋保全に焦点を当てる。政府部門、民間企業、一般市民と、さまざまな視点から、また法令や制度、国際協力などの角度から全面的に人類と自然との共存について考察する。さらに海に関わる産業や民間活動——台湾が世界に誇るクルーザー製造業や漁村の文化イベントなどにも目を向けた。
海に関するカバーストーリーに続いて、フォトエッセイでは台湾の「海岸線」のさまざまな表情をご覧いただく。また、田んぼの中に建つ「海湾絵本館」はどのような夢から誕生したのか、ぜひお読みいただきたい。
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ドキュメンタリーフィルムは重々しくてつまらない、などと誰が言ったのだろう。台湾では1960年代に、さまざまなテーマのドキュメンタリー映画が制作されていた。社会的な題材を扱った『劉必稼』(陳耀圻/1967)、暖かい家庭を追った『延』(荘霊/1966)、そして純粋に芸術を追求した『今日開幕』(韓湘寧/1965)など、テーマや表現方法の異なるドキュメンタリーが同じ時代に花開いたのである。台湾国際ドキュメンタリー映画祭(TIDF)でキュレーターを務める林木材や著名カメラマンの荘霊、芸術家の韓湘寧の話を聞きながら、60年代の台湾ドキュメンタリー映画を振り返ってみる。
今月号ではさらに、イタリアのフィレンツェ・ビエンナーレにおいて「特別功労賞」と「ロレンツォ・イル・マニーフィコ賞」を受賞した芸術家の陳正雄をご紹介する。巨匠の言葉とともに、その歩んできた道と創作理念に触れ、色彩をもって描き出した生命の輝きと喜びをご覧いただきたい。
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台湾のこの大地で、さまざまなエスニックが手を取り合って生きている。アミ族伝統のシュロガヤツリ編みの工芸と最新のデザインが結びつき、シンプルでモダンなライトが生まれ、それが世界で光を放っている。インドネシア華僑の呉俊星はラジオ局の中央広播電台でパーソナリティを務めながら、台湾で働くインドネシア人労働者の暮らしや仕事の問題解決に協力してきた。台東の均一実験高校の生徒たちは、東南アジア言語図書の移動図書館を開いて、台湾に働きに来ている人々の心を支えている。これら一つひとつの感動的な光景が、海に囲まれた台湾で繰り広げられている。