高雄市の職業高校である私立三信家事商業職業學校(三信家商)を創設した林瓊瑤は、1963年に校舎を建てる際、生徒たちが視界のいい教室で授業を受けられるように階段教室を設けたいと考え、設計を建築家の陳仁和に依頼した。陳仁和はその要求に応え、構造やコストといった数々の難題を克服して、波打つ形のユニークな校舎を完成させた。
外観を見ると、廊下から教室にかけてT字型の小さい梁が90センチ間隔で並んでいる。これによって全体の構造を安定させるとともに、波状の床の起伏を調整し、床と天井が波打つようなリズムを感じさせる建築物となっている。波打つ廊下に沿ってコンクリートのベンチが並び、廊下の両端にある半円形の螺旋階段が、さらに美しいラインを生み出している。教室に入ると、波の低くなった位置に教壇があり、隣の教室と左右対称に設計されている。波が高くなっていくところに生徒の座席が階段状に配置され、授業を受けやすい空間となっている。
建築家は、精密な技法をもって動きのある波状の校舎を完成させた。教育機能と特殊な造形を融合させた、台湾で最も特色ある学校建築である。