現象一:家庭がどんどん小さくなる
まず全体の構造を見よう。主計処の統計では、全台湾の世帯数は741万、10年前より94万世帯増えた(14.6%成長)。世帯構成で最も多いのが、両親と未婚の子女のみという家族で35.8%、10年前より5.7%減少、次が一人親世帯で22%(162万世帯)、その次が夫婦2人だけの世帯で11%(81万世帯)、三世代同居世帯の10.9%(80万世帯)を超えている。
世帯構成人数を見ると、三世代同居かどうかにかかわらず、5人以上はわずか8.7%、6人以上は7.3%で「大家族」は減少している。
台湾の家庭の変化の第一の趨勢は、世帯規模の縮小である。1990年、台湾の一世帯の平均人数は4人だったが、2000年は3.3人、2010年は3人となった。
子供が独立して夫婦だけとなった世帯、それに子供のいない共働き世帯。こうした夫婦だけの2人世帯がこの10年で最も増加率が大きく、62%増えている。中でも老夫婦のみの世帯が増える傾向にある。
内政部の調査からも同様の傾向が読み取れる。65歳以上の老夫婦と子女が同居する割合は、1986年の70%から2005年には61%へ下がり、2009年には68%へ回復している。一方、夫婦だけの世帯の割合は、1986年は14%、2005年は22%、2009年は18.7%で、老後は子供の世話になるという伝統的な観念が薄れていることがうかがえる。
学界の研究でも、二世帯同居は親孝行か否かとは無関係で、老夫婦だけで暮らすことは老後の選択肢の一つとなっているとされる。
一方、住宅環境や不動産価格の高騰も、三世代同居には不利に働いている。台湾の一般的な集合住宅の多くは小規模家庭向けで、子供を持つ若い夫婦が親と同居したくても、実際には難しい。
また、台湾では社会全体が個人主義へと過度に傾き、嫁姑の摩擦や生活リズムの違い、互いの空間の尊重、子供との関係などの価値観の変化が、高齢夫婦の居住環境選択に影響している。
中央研究院社会研究所の章英華研究員によると、20年前は一家の子供の数は平均3~4人で、親はその中の一人と同居することが多かった。だが今は子供の数が減り、子供を持たない夫婦も増えたのだから、老後を子に頼ることはできない。子供が結婚して親元を離れ、それぞれの生活習慣を形成した後は、再び同居することは困難になる。
円満で幸福な家庭は、自ら努力して築いていくものだ。