問題4:資源不足の環境
AMiBA基地は新築から半年たったばかりで、生活施設は簡素を極めていて、台湾がここに建設したSMA観測基地とも大きく異なっている。SMAのあるマウナケア山は開発が早く、設備が整い、各国の研究機関は海抜2800メートル地点に宿舎、レストランなどを共同で建設し、スタッフの休息に当てている。これに対しAMiBAはコントロール室と事務所があるだけ、スタッフの休息場所はコンテナハウスとベッドしかなく、キッチンは電子レンジだけだ。
生活施設が不足し、高山ではゆっくり眠れないので、スタッフは夕方車で上ってきて、観測が終ると山を下りて眠りに帰る。「行き返りの山道はでこぼこで、スタッフが下山途中に事故を起こしたことがあるので、毎回の観測は二人一組で行います。何かあった時、二人なら対応できますから」と梅津敬一は話す。
ハワイの火山の上で、数10億光年のはるか遠くの星を観測する、一見ロマンチックな仕事の背後には、人に知られない苦労がある。しかし、この広い宇宙の中から、知りたいと思う問題の解答が得られれば、これら研究スタッフにとっては、全ての苦労の甲斐があるというものであろう。