困難時にこそ見える真心
またセントビンセントも、国連やWHOなどで常に台湾のために発言してくれ、厚い友情を示してくれる。それに対する台湾の人々の感謝の声はネットやメディアにあふれている。
駐台使節団の団長でもあるボウマン氏は「台湾に大使館を置く国々は、台湾の主権を尊重しています。どの国の大使も、台湾のために発言し、台湾が世界に認知され理解されるよう、そしてさらに多くの国が台湾を承認してくれることを願っています」と言う。
暇があれば、陽明山の文化大学に行って台北盆地を眺めたり、大使館近くの公園を散歩したりするが、彼女はそんな時、セントビンセントの国旗が入ったスポーツウェアを着ている。それはウェットスーツ世界シェア1位のメーカー「「SHEICOグループ(薛長興工業)」がセントビンセントの児童にと50万ドル分の運動着を寄付したうちの1着だという。それだけでなく2021年にも同グループは、火山爆発によって学校で授業を受けられない子供たちがオンラインで学べるようにと、150台のタブレット型コンピューターを寄贈している。
セントビンセントのスフリエール山は活火山で、2021年に大きな噴火があった。「32の島々を持つセントビンセントで、2021年には32回もの火山噴火があったのです」と苦笑しながらも祖国への思いがあふれたか、彼女は少し声を詰まらせた。
困っている時こそ真の友情がわかる。台湾の外交部は国際合作発展基金会に委託し、「パンデミック後の中南米及びカリブ海諸国における経済復興及び女性エンパワーメント支援プロジェクト」を実施した。台湾初の、女性の権利をテーマにした地域型対外援助プログラムだった。
2021年の火山爆発で多くの人が故郷を失ったセントビンセントにとって、女性のマイクロ起業を援助するこのプロジェクトはまさに「差し伸べられた手」だった。