バリアをブレークダウン
「どんなにクールなテクノロジーも、便利でなければなりません。これこそが科学技術の最終目標であり、あらゆる業種が利用できるようにすることです」と方怡雯は言う。この点こそ、彼らが世界の商業バーチャル空間でトップに立てた要因と言えるだろう。
方怡雯はエンジニアが使う言葉から「バリアをブレークダウンする」戦略を説明する。「ソフトがハードに取って代わり」、便利にすることで世界に普及させられるのである。
iStagingの技術を使えば、企業は高価なVR設備を購入する必要はなく、プログラミングができなくても構わない。スマホで平面図と全景図を撮影してクラウドにアップするだけでVR空間を作り出すことができ、しかも料金も合理的だ。5米ドルでVR物件が3点作れ、販売に使えるのである。
「カメラで撮った2Dの写真をクラウドにアップすると、アルゴリズムを通して3D空間が出来上がります。これこそメタバースの概念です」と、技術担当副社長の蔡永瑋は言う。iStagingはビジュアルコンピューティングとディスプレイエンジン、バックエンドエディタを通して、平面を3D空間図、あるいは3Dの立体物件へと変換する。商品は360度回転させられ、開け閉めもできる。さらに、商品の内部、つまりパソコンの中のチップやカメラ内部のレンズ、コーヒーマシンのフィルターなども見ることができる。
ユーザーはVRゴーグルやヘッドセットを使う必要はなく、インターネットにつなげば、スマホでもAR/VRのメタバース空間に入れるのである。
蔡永瑋は「これは、最初から『ブラウザ‧ベース』のエンジンに的を絞ったおかげです。ユーザーはブラウザを開くだけで3Dコンテンツを見られる、という方向で開発したのです」
「私たちは、この複雑で常に改善されるアルゴリズムを用い、クラウドコンピューティングを通して3Dの空間モデルを算出します。粗い部分や壁面の凹凸やゆがみ、抜け落ちなどは出ません。これは国際競争力のあるソフト‧ドリブン技術です」と蔡永瑋は言う。
iStagingの方怡雯CEO(後列)とマネージングチーム。