学習力を高める0時限体育
アメリカから導入された「0時限体育」は、毎朝授業の1時限目が始まる前に運動をするというもので、最大心拍数の8~9割ほどの負荷をかけることを目標とし、その後で授業を受ける。
この革新的な実験は十余年前に米国シカゴのネーパーヴィル・セントラル高校で行なわれた。同校の6割の生徒が0時限の体育に参加し、運動後には通常の授業の前に「読み書き」を強化する授業を受け、学習力向上の効果を測定したのである。
一学期が過ぎると、実験に加わった生徒の読解力は17%も向上したが、通常の体育の授業しか受けなかった生徒の伸びは10.7%だった。この研究は、早朝の運動がその他の時間帯の運動より生徒の学習に役立つことを証明している。さらに指導顧問は、全校生徒は体育の授業の後、最も苦手な学科の勉強をすれば、運動による効果をさらに高めることができると提案している。
ネーパーヴィル・セントラル高校の0時限体育は大きな成果を上げ、全米の多くの学校がこれを導入した。大甲小学校でも4年前からこれを開始した。
大甲小学校の陳浪勇・校長によると、大甲地区の住民はもともと早起きの習慣があり、共働きの家庭では、両親の出勤に合わせて朝7時前から子供を学校に送ってくる。学校側としては安全面を考慮して、あまり早く子供を学校に来させないよう指導してきたが、効果は上がらなかった。
そこで学校は考え方を変え、早朝に有意義な活動を取り入れたいと考えた。そして、0時限体育がまさにぴったりの選択となったのである。
だが当初、「運動をしてから勉強する」という方法には親や教員から疑問の声が上がった。走った後に勉強するのでは落ち着かない、疲れて居眠りしてしまうのではないか、といった疑問だ。
しかし、結果は正反対だった。計画に参加した子供たちはBMIが標準に近づき、気力面も情緒面も改善し、授業に集中できるようになった。中でも、もともと活発でいたずら好きだった生徒は、まずグラウンドで力を出し切ってから授業を受けるので、以前よりルールを守るようになった。
大きな成果が上がったため、早朝運動に参加する生徒は年々増え、今学期は110人が登録している。