世界的な任務
太陽光パネルの素材は、ガラスが75%、アルミ10%、EVA樹脂10%で、この他にシリコンや銅、銀なども含まれる。「20年にわたって強い日差しや風雨にさらすことができるということは、等級の高い素材が使われていることを意味し、それらは回収再利用するべきです」と台南大学グリーンエネルギー科技学科の傅耀賢・教授は言う。
現在の使用済み太陽光パネルのリサイクルにおいては、EUが設立した組織PV Cycleが中心となっている。PV Cycleの処理方法は、まずアルミのフレームを取り外し、機械で粉砕してガラスと金属、プラスチックなどに分ける。プラスチックはさらに熱分解し、EVAフィルムとバックシートは高温で気化させ、最後にアルミ、シリコン、銅、銀、ガラスなどとして回収する。
しかし、太陽光パネルのバックシートはフッ素を含み、燃焼すればオゾン層破壊につながるため、熱分解する必要があり、ガスを回収する設備を用いて妥当に処理しなければならない。結果としてPV Cycleの回収ラインは製鉄所のような巨大なものとなり、設備1台が1億元近くもする。
傅耀賢によると、ヨーロッパのリサイクル産業は台湾ほど発達していない。EVAやフッ素を含むバックシートの回収生産高が低いため、苦労をしてリサイクルしても使い道がなく、最終的にはどこかに埋めるか焼却しなければならない。また、欧州では現在まだこれらの物質をソーラーパネルから分離する技術がないため、すぐに焼却されてしまう。有用な素材がそのまま廃棄され、しかも環境汚染の心配もある。これではグリーンエネルギーの意義に反するというので、傅輝賢と研究チームは、太陽光パネルを完全にリサイクルするシステムを確立しようと考えたのである。
左の石英を純化処理すると右の金属グレードシリコンとなり、これが太陽光発電や半導体産業における重要な原料となる。