チップメーカーが先鋒に
玩具市場の特徴は、周期が短くて明らかなシーズンがあり、次々と新商品を出す必要があり、安全性が重視されるなどの点だ。競争の激しい玩具市場でロボットは大きなビジネスチャンスを持つが、台湾にチャンスはあるのだろうか。
「現在のところ台湾のロボット産業で売上があるのは玩具市場です。玩具は創意と価格と核心技術にかかっています」と台中精密機械センターの詹;炳熾総経理は話す。台湾のチップ設計技術の高さは世界に知られており、人型ロボットのサピエン、くすぐりエルモ、任天堂のWii、ソニーのPS3も台湾のVIA、Winbond、PixArt、Genesysなどのチップを採用している。台湾のチップ設計は玩具市場でも頭角を現し始めている。
昨年の台北Info Monthで注目されたのは携帯電話やノートPCではなく、米Ugobe社が開発した恐竜型ペットロボットPleoだった。華人の血を引く設計者のケーレブ・チュンは、映画「ジュラシック・パーク」の特殊効果を担当し、後に玩具デザインに従事、9年前に設計したファービーは世界で4000万個も売れた。
Pleoのサイトを見ると、この小さな恐竜は生命を持っているかのようだ。生後1週間の赤ちゃん恐竜は、嬉しいと頭を上げて尾を振り、悲しいと頭と尾を下げる。同類を認知でき、うっかりすると風邪をうつされることもある。1体1体に個性があり、愛情をもって育てれば明るく自信に満ちた恐竜に育つ。子育てと同じである。
Pleoは7つのマイクロプロセッサと14のモーター、38のセンサーを持ち、視覚と聴覚と触覚があり、表面は柔らかいゴムでできていて、本物のペットのようだ。発売前から大きな話題になり、製造は香港のJetta社と台湾のHONHAIが受託すると言われている。
「現在の台湾の問題は、玩具ブランドと強力な商品がないことです。より多くの人材と資源の投入が求められます」と詹;炳熾さんは言う。台湾はかつては玩具大国、現在はIT大国なのだから、玩具に新たな生命を吹き込み、チャンスを手にするには、最先端のロボット技術を融合させていかなければならない。
淡江大学の人型ロボット
サイズ:高さ46cm、重さ3.1kg
性能:競技用。頭と腕、腰と脚などの関節に26のモーター、2本の脚だけで14のモーターを持ち、巧みに歩行できる。頭頂部には映像センサーがあり、視覚範囲は200cm。
歩行速度:1秒12cm
原価:15万台湾ドル
ロボットにサッカーをさせるには、識別システムによって球を見つけてゴールの位置を確認さけなければならない。だが、台湾のロボットは転倒したら人の手で起さなければならず、自分の腕で立ち上がれる日本のロボットとはまだ距離がある。
左上から、会話ができる赤ちゃんロボット、メールが来たら目が光るウサギ、アザラシ型ペット、くすぐりエルモ。
左上から、会話ができる赤ちゃんロボット、メールが来たら目が光るウサギ、アザラシ型ペット、くすぐりエルモ。