海外との共同制作
国光劇団は、異分野や異文化とも交流し、さまざまな領域の養分で戯曲のDNAを転化している。例えば2016年には香港のマルチメディア劇場「進念・二十面体」とともに『関公在劇場』を創作した。「進念・二十面体」が得意とするのはプロジェクション技術で、これにピアノ楽曲を合わせ、関公(関羽)が捕虜になる直前の内面の独白を演じたのである。
2018年には日本の横浜能楽堂とともに新編の崑曲『繍襦記』を制作した。伝統の崑曲の物語に日本舞踊や三味線を融合させ、台湾と日本が協同で異文化・異分野交流のイノベーションを実現させたのである。
今年は、国際的に活躍するプロデューサーとともに『フェードル』(国際バージョン)を打ち出す。これは特別に外国人観客の嗜好に合わせて改編された脚本を用い、戯曲と電子音楽を融合した舞台である。さらに『フェードル』の原作を研究する海外の著名劇作家を招き、伝統の戯曲を国際レベルに高めた。国光劇団の制作力と台湾の創作思考を高め、国際芸術フェスティバルで台湾の知名度を高めようというものだ。京劇を基礎に、国光劇団は伝統を守りつつ現代と対話する段階を経て、現在は未来を探求する段階へと、三つの時期を経てきた。興味深いのは、国光劇団が戯曲のイノベーションに取り組み、未来を探索すればするほど、実はそれは伝統の深い基礎の中にあることがわかることだ。「戯曲は絶えず新しく書き直すことができますが、役者は伝統の基礎訓練を続けなければなりません。いずれにしても、戯曲は地に足がついていなければならないのです」と張育華は感慨を込めて語る。
実際、30年前には戯曲のイノベーションという発想は認められなかった。「先生に教えられるままに練習し続けるだけで、質問をしたり、勝手に変えたりすることは、師匠や先人に逆らうことだったのです」と京劇の訓練を受けてきた張育華は言う。そして現在、国光が革新を追求する勇気も深く理解している。「私たちは、伝統をそのまま受け継ぐだけでなく、分野を越えたイノベーションを一つの典型とし、さらに国際化によって世界に京劇の美を見せたいのです」と言う。
プロジェクション技術とピアノ演奏を駆使した『関公在劇場』は、関公(関羽)の心の内を表現する作品だ。
日本と共同で制作した新崑劇『繍襦記』は大好評を博した。
世界レベルの大作『フェードル』は伝統戯曲の限界を超え、海外の観客の嗜好に合わせて改編することで、台湾のクリエイティビティを世界に示した。(林格立撮影)