Cosda:見本市以外のマーケティング
1978年に創業した程岱(Cosda)も台中のハンドツール産業クラスターの中にある。台湾で業界をリードする特殊自動車修理ツールの専門メーカーだ。防振スプリング取外し用ツール、冷却水漏れ用ツール、ブレーキフルード工具などのハイエンド製品があり、95%以上を欧米に向けて輸出している。
二代目が会社を引き継いだ後、オンラインマーケティングとB2B電子商取引を重視している。資本金6000万元、社員数65人の会社で、260項目以上の製品を作り、56の特許を取得、売上は年々上昇している。ドイツの自動車大手であるBMWや、アメリカのEV大手のテスラ、ツールブランドのSnap-onやStanley Black & DeckerなどもCosdaの顧客である。
「私たちは見本市に出展せず、その予算をオンラインマーケティングに投入しています」と副総経理の劉明芬は独特の経営モデルを説明する。検索エンジンの最適化(SEO)と電子商取引で収集したビッグデータをもとに、市場の趨勢を分析し、潜在的な顧客を開発するのである。このことから、同社は金属工業研究センターのデジタルトランスフォーメーション運営卓越賞を受賞し、今年は電子商取引達人賞とオンライン人気賞にも輝いた。
45年前、劉明芬の父である劉来誠がCosdaを創設した。劉は最初は機械設備メーカーで品質管理を担当していたが、その後、起業して自転車部品や電子部品の受託生産を開始し、2001年からは自動車用工具を専門に受託生産するようになった。機械と製図の堅固な能力があったため、冷却水漏れ用工具の開発で台湾で特許を取り、わずか5年の間に、OEMからODMへ昇格した。
財務金融を専攻した二代目の劉明芬は、2006年に父の会社に入り、8年後に弟とともに家業を引き継いだ。二人ともオンラインマーケティングを重視しており、定期的に顧客を訪ねて製品の使用感などを聞いている。2020年、検索エンジン最適化(SEO)を行ない、またB2Bプラットフォームに加入することで、販路は欧米20ヶ国から68ヶ国まで拡大し、自動車修理ツール専門の中堅企業となったのである。
「私たちは製品だけでなく、システムも販売しています」と劉明芬は同社の成功要因を語る。例えばオイル交換の場合、ボルトを緩めるレンチを開発し、さらに耐熱マグネットを加えてボルトの緩みを吸収することで、作業時に手をオイルで汚すことがなくなり、日本の整備士に非常に好まれている。また、自動車のオイルドレンプラグは、長く使っているとネジが潰れるなどの要因で空回りしてオイル漏れが生じる。そこでCosdaでは、タップやネジ、ワッシャーなどを提供し、ナットをつけた後、緩みや漏れが生じないようにした。これらのシリーズ製品はキットになっており「これがシステムの概念です」と言う。
自動車整備用工具を専門的に製造する台湾の程岱(Cosda)の製品は、世界68ヶ国に輸出されている。