イスラムの教えによるハラール
「ハラール」とはイスラムの教えにかなうという意味で、ムスリムが消費の対象とするのは、ハラール認証を受けた製品(食品や原材料、医薬‧化粧品)や場所(飲食店や観光スポット)だ。
『コーラン』には衣食住‧移動‧娯楽に到るまで細かい戒律がある。例えば、女性は外出時にヒジャブと長袖を身につける。飲酒禁止。動物の血や死んだ動物(イスラムの教えで処理された場合を除く)を食べてはいけない。用を足した後は水で洗う。礼拝前には身を清める。1日5回、聖地メッカの方角に礼拝するなどだ。馬孝棋はムスリムとはイスラム教信者であるだけでなく、「宗教的な生活を営む人々」のことだと言う。
昔はムスリムの台湾旅行は不便だった。東北海岸及び宜蘭海岸国家風景管理処の馬恵達‧所長はペルシア系ムスリムで金髪に青い目を持つ。子供の頃の家族旅行と言えばせいぜい1泊で、母親が煮込んだ大量の牛肉を持参し、それと白いマントウの組み合わせが3食続いたという。
ガイドはコミュニケーションの懸け橋となる。客のニーズに応えるため、馬孝棋はツアーに調理道具も持参し、レストランでは調理方法や食事時間についても相談する。面倒とは思わない。「自分のためでもありますから」と言う。
台湾では早くも2011年に政府が中国回教協会と協力してハラール認証の推進を開始した。現在は台湾各地の13の国家風景管理区で、また空港や鉄道の駅、一部の観光スポットで、礼拝室やハンドシャワー付きトイレが設けられている。
豚肉やアルコールを含まないインド料理は、ムスリムも食べられる。