ピラミッド・アドベンチャー
東南アジア文化に興味のある人は「1095,」の活動で最も人気のある「ピラミッド・アドベンチャー」ツアーに参加するといい。ピラミッドというのは、高齢の人なら知っているが、昔の第一広場の前にはガラスのピラミッドがあり、そこが地下への入り口になっていた。後に消防安全規則に合致しないとして取り壊された。今ではその「ピラミッド」というのが移住労働者たちの間で第一広場の愛称となっているのである。
最初は、江彦杰が友人に頼まれて第一広場を案内しただけだったが、それが広く知られて多くの人が問い合わせてくるようになった。そこで週末になると「1095,」は毎回異なる国をテーマに、興味のある人を率いて第一広場を案内するようになったのである。そこに交流を深めるゲームなども加えて楽しく演出する。また東南アジアから来た交換留学生や移住者を招いて自国の文化を紹介してもらうこともある。
「1095,」に率いられて第一広場に入ると、江彦杰が引用する蔡依林(ジョリン・ツァイ)の歌「私たちはみんな違う、私たちはみんな同じ」という言葉の意味がわかってくる。回廊を歩くと、東南アジアから来た人々が、数人ずつ集まってスイカの種を食べたりしながらおしゃべりをしている。ここではデジタル製品を買うこともできるし、東南アジア各国の料理を味わうこともでき、服飾や理髪の店も出ている。3階には生鮮食品から乾物まで何でも揃った東南アジア商品のスーパーマーケットもあり、懐かしい故郷の味を手に入れることができる。
「1095,」はさらに「交換ガイド」という概念も打ち出している。東南アジアから来た人々と台湾に対するイメージを分かち合い、台中のお気に入りのスポットをシェアするというものだ。だが、こうした交流では言語が最大の障害となる。そこで「1095,」は華語カリキュラムを開設し、東南アジア出身者に華語を教えている。中興大学経営学科に学ぶ洪嘉莉は「1095,」でカリキュラムの企画を担当しており、東南アジア出身の人々が華語によるコミュニケーション能力を高め、台湾社会に溶け込めるよう協力している。
第一広場では移住労働者の需要がすべて満たされる。故郷の料理から理髪、図書まで何でもそろっている。