力を合わせて台湾ブランドを
今年4月、Dcardは日本で国際版「Dtto」を開始した。イタリア語Dettoと英語Dittoから人と事への共感を意味して名付けた。当初、十人に満たなかった会社が、今は内外に展開して社員は二百人以上、日本にもチームを抱える。それには林裕欽の「習慣」が関わっている。
会社経営も生活管理も「何か目標を達成するのではなくて『システム』にしたいのです。目標は1ヵ月で2㎏痩せることで、システムは毎日運動する習慣づけです。物事をシステムの角度から見れば長期間維持でき、中断しにくくなります」
Dcardは最初からセキュリティと投稿のリアリティを強調してきた。この価値を守るために、未認可のステマを処理する専従スタッフがいる。ユーザーの真実の経験が投稿の信頼性を高めるからこそ、検索キーワードにDcardと加える習慣ができる。Dcardを利用していなかった人も、検索時にDcardの投稿を目にするようになっていく。「投稿の価値を信じているから、キーワードに加えて検索するのです。するとGoogleが学習し、検索時に〇〇〇と入力してスペースを打つと、自動的にDcardがサジェストに上がるようになります」と林は分析する。
学ぶことが好きな林裕欽は、よくフェイスブックに読書の感想をシェアする。こうした文章からDcardの成功のヒントが窺える。「円グラフ型思考」についての書き込みでは「棒グラフ型思考」に触れ、経験や業績から将来のパフォーマンスを想定することで、企業の発展を制限してしまうと言う。一方「円グラフ型思考」は将来から現在を想定することを強調する。マーケットに将来現れる機会を考え、自らを制限せず、現状の不足を強化するのだという。だから学習が成長の鍵になる。Dcardの社風は「学び」の上に成り立っている。スタッフは読みたい本や参加したいセミナーを、グループチャットに挙げる。林裕欽は48時間以内に使命を果たす。それが仲間に対する責任ある態度だと信じるからである。
分かち合うことを楽しむCEOと同様に、スタッフもブログサービスMediumにDcard Labを開設し、起業の道で遭遇したボトルネックや解決方法を公開する。例えば量的リサーチを通じて登録ページの離脱率が高い原因を探り、登録ステップの改善によって登録500%アップを達成している。各チームの経験や実習生の感想なども紹介している。林裕欽が注目するのは、競争ではなくユーザーである。だからチームは隠すことなくシェアし、ブランドの理念をも示す。
青年大使を務めた時、カナダで目にした広告がある。「景色は輸出できなくても、観光客は輸入できる」このフレーズは十年の間、胸に残り続けた。その間に彼は起業し、各国へリサーチに出かけ、起業家と交流し、心の声は強くなっていった。「台湾には開かれたブランドが要る。国際的な企業がもっと現れた時、世界がもっと台湾を知ることになる。Dcardにできるのは世界に向かって影響力を拡大し続けることなのだ」と。
著名YouTuberとDcardでのホットな話題について話をするDcardの影像音響チーム。
Dcardの影像音響チームは各大学を訪れて学生たちに生活のあれこれについて話を聞いている。
社員が自分の好きな場所で仕事をするDcardの社内は、自由な空気に満ちている。
メンバーの成長を重視するDcardは社員に学習リソースを提供するほか、林裕欽も社員と面談し、皆の考えを理解している。