漫画創作環境の三大課題
台湾の若手漫画家も積極的に活動しているが、范万楠は懸念される課題が三つあると言う。
一つは専門的人材の不足だ。漫画の二大要素は作画技術と原作・脚本の力だが、台湾の漫画家でその両者の能力を備えた人は非常に限られていると范万楠は言う。
台湾には系統だった漫画家養成制度がなく、学校教育体系にも漫画の専科はない。多くは独学で作画技術を模索するため、技術を身につけるのに少なくとも1~2年はかかる。
もし学校で基本的な技術を身につけることができれば、業界に入ってからの「修正期」を短縮でき、物語や脚本の構想に専念できると范万楠は考える。
第二はデジタル革命の衝撃である。范万楠は、インターネットが間接的に海賊版の急速な拡散につながり、漫画の販売量は減少していると指摘する。
また、スマートフォンやタブレットPCの普及、SNSやオンラインゲームなど、娯楽が多様化し、もともと規模の大きくない台湾の漫画市場がますます狭められている。
第三は、漫画に対する一般の偏見である。
范万楠によると、日本の最近の調査では小学生の5割が将来は漫画家になりたいと答えている。それに対して大部分の台湾の親は、子供が漫画を職業とすることに反対し、実際に漫画で生計を立てている若者も少ない。東立の新人賞への応募者も当初の半分まで減り、業界と教育体系が力を合わせて人材を育成する必要があると言う。
新世代のCoryは、自分の漫画で読者を励まし力づけたいと考えている。