専門性の高い分担作業
アジア美術館では担当業務が細分化されており、それぞれが輸送から展示までの各段階の安全に責任を持つ。アジア美術館による台湾での展示品確認作業も実に厳密で、敬服したと余(ظ瑾は言う。「今回は中華航空の協力を得て4機に分けて輸送しました。1機当りの保険金に上限があり、機密保持のためにも一般の旅客機を利用し、随行者も分散して搭乗しました。台湾側の担当者だけでなく、米国側の学芸員も同行しました」
米国側は事務面でも非常に専門性が高く、航空機に文物を載せる際には、すべての箱に下枠をつけて貨物室に置き、積み下ろしの際には双方の担当者が全工程を監視するのである。
米国到着後は、48時間箱を移動せずに安置する。器物が完全に現地の温湿度に適応するのを待ち、水平儀で確認してから箱を開ける。
開梱に当たっては、検証報告と一つずつ照らし合わせ、輸送課程に問題がなかったかを確認し、保険やその他の責任を明確にする。
輸送から開梱まですべての行程が厳しい監視下に置かれていたが、余佩瑾は文物の展示が完了するまで緊張の連続だったという。「アジア美術館は展示面でも配慮が行き届き、照明も専門家に依頼し、展示の枠や支柱なども展示品に合わせた色彩に塗り、すべての陳列方法には私たちの同意を求める形になっていました」と言う。会場の陳列作業に3週間を費やしたが、3カ月後にヒューストンで展示される時には、同じく厳密な作業が繰り返されるのである。
アジア美術館では陳列のための枠や支柱、照明まで美術品専門のスタッフが特別に設計した。(故宮博物院提供)