有機による五つの宝
コメ、金針花、原木栽培シイタケ、地鶏、富麗梅の五つは、地元の特産として「富里五宝」と呼ばれるが、そのうち高地で育つ金針花を除く四つが羅山でも生産されている。
有機果樹グループのリーダーである陳火木さんは73歳、5ヘクタールの農地にウメ、アイギョクシ、ミカン、ブンタン、アビウなどを育てて40年の経験を持つ。
果樹の性質をよく知る陳さんは、かつては農薬を大量に撒くと自分でも多く食べる勇気はなかった。それで、2003年に花蓮県が無農薬農業を呼びかるとただちに加わり、タバコ葉を浸した水による害虫駆除や、有機肥料、草抜きなどを行って全面的に有機栽培に替えた。
果樹グループ16戸の計60ヘクタールの果樹園では、ウメが主な農作物だ。質、量ともに豊かでかつては大量に日本へ輸出していた。が、栽培技術が台湾人によって大陸に導入されると競争力を失い、日本が大陸から輸入するようになったため、台湾のウメ価格は暴落、1990年第1期には1キロ20元だったのが、今では5〜6元である。
が、この危機がむしろ果樹農家の有機栽培を促した。梅酒、梅干、砂糖漬け、茶葉漬けなどの加工品生産も盛んになり、富里農業組合は全国有機作物販売ルートに新たな道を見出した。
民宿「羅山的家」のご主人、周重福さんは、2006年から遺伝子組替ではないダイズとアズキを有機栽培している。
周さんはこう説明する。同じ時期に植えたダイズでも成熟や収獲の時期はそれぞれ異なる。が、一般の農業では、落葉剤で成熟を早め、機械で一挙に収獲してしまう。一方、成熟したものを選んで人の手で収獲する周さんの方法では、40アール弱の畑から一昨年には900キロの収獲があったが、昨年は天候不順や水不足で600キロに及ばなかった。天候に左右され、より多くの手間がかかる有機栽培は、「良心のためにやるのであって、金儲けにはなりませんよ」と、周さんはさばさばした表情で言う。
雑草も大切な存在だ。有機果樹班の陳火木班長は、雑草は水分を保持して土壌の流失を防ぎ、腐敗すれば養分豊富な肥料になると言う。