支え合える仲間
人間関係が希薄な現代、同窓会は仲間同士を結び付け、支え合う役割も果たす。
40代、高雄正修高専の建築学科を卒業した簡孟強さんは、台北で内装の仕事に忙しいが、兵役を終えてから毎年、同窓会の開催を自分に義務付けている。
その間、連絡が取れなかった同級生が山で修行をしていることが分かり、会いに行った同級生によると次第に現実社会から離脱しているようで、皆が心配していた。
そこで昨年の同窓会の前、在学中は成績は一位だったのに後に道を踏み外した同級生に誘いに行ってもらった。「今度のクラス会には必ず出てくれ。迷っているヤツもいるし、俺みたいに道を踏み外したのもいる。皆の悩みに答えてくれ」と頼んだのである。
彼に少年時代の楽しい感覚を取り戻してもらい、再び人の輪の中に入ってもらいたいと願ってのことだった。
かつてのクラスメートが励まし合い、関心を寄せあうことで、より良い人生が歩め、年を取ってからは楽しい思い出を共に振り返ることができる。
新竹の竹蓮小学校を1957年に卒業した第一期生は50歳の年から同窓会を開き始めた。今は全員退職しており、毎年ハイキングと食事会の同窓会を一度ずつ開いている。
共に健康に生きていこうと励まし合っているが、この世代に特有の課題もある。同窓会の司会者は、メンバーの肩書や出世を話題にしたがるし、会場で選挙活動が行なわれることもある。
毎年出席している朱杏さんによると、ある同窓生が同窓会名簿の全員宛てに娘の結婚式の招待状を送ったところ、出席したのは彼女一人だけだった。以来、披露宴や葬儀の通知は互いに送らないようにしたと言う。
花蓮鳳林小学校の1943年度の卒業生は、60歳になってから毎年同窓会を開き始め、すでに20年になる。ここ数年は、皆で集まれる機会がますます減ることを感じ、月1回、レストランに集まって食事をし、歌を歌うなどして過ごしている。今も20数人が出席しているそうだ。
鳳林で文化や歴史を研究する蔡金仁さんは、高齢化の進む農村では、同窓会にはレジャーと互助の機能があると考えている。また若い頃のさまざまな経験を口述してもらえば、それは貴重な文化遺産となる。
思い出は年を取ってからの最大の糧であり、懐かしい同級生と過ごす時間はかけがえのないものだ。